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4月26日の日本の昔話
イラスト 龍之進 三絶堂
雨の夜のかさ
落水暗晡个遮仔
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかし、農民から天下人へと大出世をした豊臣秀吉が、日吉丸と呼ばれていた子どもの頃のお話です。
頭擺,本旦係耕種人,後來變做世界有名大將軍个豐臣秀吉,分人喊做日吉丸个細人仔時節个故事。
ある夏の夜、蜂須賀小六(はちすかころく)という侍が家来を連れて橋の上を通りかかると、むしろをかぶって寝ている子どもがいました。
有一隻熱天暗晡,一個安到蜂須賀小六个武士,帶等厥管家行過橋頂个時節,看著一個細人仔弇等草蓆在該睡目。
「邪魔だっ!」
「攪躁你!」
小六が槍の先でむしろをはねのけようとすると、子どもはパッと飛び起きて、
小六想愛用銃尾去掊開草蓆个時節,細人仔忽然間跳起來:
「人が気持ち良く寝ているのに、何をするんだ!」
「人在該睡著當好勢,你愛做麽个!」
と、小六をにらみつけました。
目珠擘大大隻䁯小六。
その子どもはサルの様な顔をしていますが、なかなかに根性がありそうです。
該個細人仔趜出像猴仔樣面,盡有性體个樣仔。
「ほう。いい目をしておる。おれは蜂須賀小六だ。お前の名は?」
「呵,目水還好。𠊎係蜂小六,你安到麼个名?」
「おれは、日吉丸だ!」
「𠊎係日吉丸!」
小六はこの日吉丸という少年を気に入って、自分の屋敷に雑用係として連れ帰りました。
小六盡中意日吉丸這種少年,斯渡佢轉屋下去做小使仔,
日吉丸はとても利口な子どもで、
日吉丸盡聰明,
どんな事を命じても大人よりもうまく仕事をこなします。
無論交待麼个事情佢就做著比大人做較好。
すっかり感心した小六は、ある日、日吉丸に言いました。
非常感動个小六有一日摎日吉丸講:
「お前は素晴らしく頭の良い奴だが、いくらお前でも床の間にある刀は取れまい」
「你係頭腦已好个猴精仔,毋過,無論你幾聰明都無法度摎壁龕刀仔拿走。」
小六が自慢の刀を指差すと、日吉丸はニッコリ笑って答えました。
小六用手指等佢盡沙鼻个刀仔个時節,日吉丸笑咪咪應佢。
「取れます」
「拿得著!」
「本当に、取れるか?」
「正經,拿得著?」
「はい」
「正經!」
「いつまでに?」
「到幾時?」
「三日のうちに」
「三日內。」
「よし。本当に取れたら、この刀をお前にやろう」
「好!正經拿來个時節這刀仔斯送分你!」
さて、それから二日たちましたが、日吉丸はやって来ません。
二日過去了,日吉丸還係無來。
三日目の夜、曇っていた空から雨が降り出しました。
第三日暗晡,本旦烏陰天嗄落大水。
小六が床の間の刀を見張りながら本を読んでいると、窓の外でパラパラと雨をうけるかさの音がしました。
小六一片掌等壁龕个刀仔一片看書个時節,傳來外背pi11 pia11滾个水涿遮仔聲。
「小僧め、とうとうやって来たな」
「細猴子,總算來了!」
小六は油断なく刀を見張りながら、窓の外の音に耳をすましていました。
小六毋敢大意,還係一片掌等壁龕个刀仔一片專心聽窗門外背个聲音。
それから何時間もたちましたが、かさを打つ雨の音はまだ続いています。
恁樣過忒幾點鐘,水涿仔个聲音連連續續無斷。
(小僧、いつまでそうしているつもりだ?)
(細猴子,打算愛搣幾久?)
イライラした小六は、窓際へ行くと障子を開けて言いました。
小六有息仔火著,行到窗門脣打開紙門講:
「小僧! そこにいるのはわかっているぞ! ・・・おや?」
「細猴子!𠊎知你在該位!...啊?」
そこには石灯籠にかさがくくりつけてあるだけで、日吉丸の姿はどこにもありません。
該位斯有一支遮仔䌈在石灯籠定定,日吉丸根本無在該。
「しまった!やつの作戦か!」
「壞蹄了!敢係該細鬼个計謀!」
小六は急いで座敷に戻りましたが、そこにはすでに日吉丸が立っていて、床の間の刀を持ってにっこり笑っています。
小六煞煞倒轉去間房,毋過日吉丸早就企在該位了,擎等壁龕个刀仔,笑咪咪。
日吉丸は小六が庭に気をとられているすきに、反対側のふすまを開けて部屋に入って来たのです。
日吉丸在小六專心注意庭院个時節,打開後背个紙門走落間肚。
「うーむ、お前の勝ちだ。約束通り、その刀はお前にやろう」
「m11 你贏了,照約定,該支刀仔送你!」
「はい、ありがとうございます!」
「承蒙你。」
日吉丸は、飛び上がって喜びました。
日吉丸暢到躍起來。
それからも日吉丸は頭の良さで難問を次々と解決していき、どんどんと出世をしていったのです。
斯恁樣形日吉丸用佢个頭腦一擺過一擺解决難題,慢慢做著大人物,出頭天。
おしまい
煞咧
豊臣秀吉
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