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ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >にほんむかしばなし(日本民间故事) >七月
7月11日の日本の昔話
カッパのきず薬
河童的创伤药
翻訳者 広東省恵州学院 関清倩
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかし、武田信玄(たけだしんげん)の家来に、主水頭守清(もんどのかみもりきよ)という医者がいました。
很久以前,武田信玄的家臣里有一位医生叫主水头守清。
ある日の事、守清(もりきよ)が馬に乗って川を渡っていると、馬が急に立ち止まりました。
有一天,守清骑着马正要过河时,马突然停住了。
「はて?」
守清が下を見ると、何と川の中から黄緑色の長い腕が伸びていて、馬の足をしっかりと握っているではありませんか。
“呃?”守清往下面一看,竟然从河中伸出一只长长的黄绿色的手臂,正紧紧地抓住马脚。
「その手を離せ!」
守清がどなりましたが、黄緑色の手は馬の足を離そうとはしません。
“快把手拿开!”守清大声地叫了一声,但黄绿色的手并不想把手拿开。
そこで守清は腰の刀を抜いて、その腕を切り落としました。
こうして動けるようになった馬は、川を渡って向こう岸に着きました。
于是,守清就从腰边拔出刀,对着那只手臂砍下去了。就这样可以动的马过了河到达对面岸边。
「しかしあの腕は、何だったのだ?」
守清が馬からおりてみると、馬の足には黄緑色の腕がくっついたままです。
よく見るとそれは、カッパの腕のようです。
“不过,那只手臂究竟是什么啊?”守清下马一看,马脚上的黄绿色的手臂还在上面。认真看了看,简直就像是河童的手臂。
守清は、とても喜んで、
「これは、珍しい物を手に入れたぞ」
と、その腕を馬の足からはずして、家へ持ち帰りました。
守清很高兴地说:“着可真是得到了珍贵的手啊。”说完后,就把马脚上的手臂拿下来带回家。
さて、その晩の事。
守清が寝ていると、誰かがこっそりと部屋に忍び込んできました。
当天晚上,守清正在睡着的时候,不知道是谁正悄悄地潜进了房间里来了。
「何者だ。名を名乗れ!」
起き上がった守清が枕元の刀をつかむと、それはあわてて言いました。
「お待ち下さい。わたしは昼間のカッパです」
“谁?报上名来!”醒来的守清拿起枕边的刀时,那人慌慌张张地说:“等等!我是白天的河童。”
「何、カッパだと?」
守清が明かりをつけると、一方の腕をなくしたカッパが座っています。
“什么,河童?”守清点了灯后,没有了一只手臂的河童正在坐着。
「カッパが、何用だ!」
“河童啊,有什么事吗?”
「はい、実は、わたしの腕を返してもらいに来ました。
もう二度と馬の足を引っぱったりはしませんから、どうか腕をお返しください」
“嗯,其实我是来拿回我的手臂的。我不会再拉住马脚了,所以请一定把手臂还给我。”
「とんでもない。どうせならその残った腕も、切り落としてやろうか?」
“真是意外啊。反正都砍了,不如把另一只也砍了,怎么样?”
「そればかりは、ごかんべんを!
もし腕を返してくださるのなら、日本一のきず薬の作り方をお教えしましょう」
“这可真是,饶了我吧。如果把手臂还给我的话,我就把日本第一的创伤药的做法告诉你。”
「ほう。日本一のきず薬とな」
“哦,日本第一的创伤药啊。”
「はい。これがわたしの作った、日本一のきず薬です」
そう言ってカッパは、貝がらに入った薬を見せました。
“是的,这就是我做的日本第一的创伤药。”这样说着的河童就把放进贝壳里的药给守清看。
その薬はカッパと同じ黄緑色で、とてもネバネバしています。
那个药就和河童一样的黄绿色,非常粘。
「ならばこの場で、切れた腕をくっつけて見せろ。出来るか?」
“这样的话,那你就当场把手臂接回去给我看看。做得到吗?”
「はい、おやすいことです」
“好,简单的很。”
守清が切り落としたカッパの腕を渡すと、カッパはその切り口に貝がらの薬をたっぷりとつけて、元のように自分の体にくっつけました。
守清把砍下来的河童的手臂递给河童后,河童就用贝壳里的药把切口涂得满满的,然后往自己原来的地方接上去。
「これ、この通りです」
カッパは腕をグルグルと回すと、腕をつないだ部分をを守清に見せました。
もはや腕には、毛ほどのきずもありません。
“正如你看到的。”河童把手臂转来转去,把手臂接上去的地方给守清看。在这只手臂已经看不到一点伤痕了。
「なるほど、確かによく効く薬じゃ。では、その日本一の薬の作り方を教えてもらおうか」
“原来如此。这确实是很有效的药啊。”
「はい」
カッパは薬の作り方を、細かく話しました。
守清はそれを、しっかりと頭に叩き込みます。
“是的。”河童就把药的做法很详细地告诉了守清后,守清深深地叩了一下头。
日本一のきず薬の作り方を覚えた守清は、すっかりうれしくなって、
「ところでカッパ。一緒に酒でも飲まんか?」
と、酒を取りに行こうとしたとたん、ハッと目が覚めました。
记住了日本第一的创伤药的做法后的守清很开心,对河童说:“对了,河童,要不要一起喝酒啊。”说完就去拿酒时,守清就醒过来了。
「何だ、今のは夢だったのか?」
床の間を見てみると、そこへ置いておいたはずのカッパの腕がありません。
“什么嘛,刚才的是梦啊?”往地板一看,本来应该放在那里的河童的手臂不见了。
「そんな馬鹿な」
守清は飛び起きると、縁側(えんがわ)へと出ました。
“混蛋。”守清马上跳起来,往廊子那出去。
するとそこには、もみじの形をしたカッパの足跡が点々とついています。
「あれは、夢ではなかったのか?」
这时,庭院里留下了枫叶形状的河童的脚印。“呃?那不是梦吗?”
次の日、守清はカッパに教わったきず薬を作って、信玄の館へ行きました。
そしてけがをしている侍たちに、この薬をつけました。
第二天,守清就按河童教的方法去做创伤药,去到了信玄的公馆。然后把药涂在受伤的武士上。
するとけがの痛みがうそのように取れて、きず口もたちまちふさがったのです。
「なるほど、確かに日本一の薬だ」
这时,伤痛也没有,伤口也很快的愈合了。“果然,这的确是日本第一的药啊。”
その後、守清は信玄の家来をやめて薬屋になり、この薬に『カッパのきず薬』という名前をつけて売り出したのです。
之后,守清辞去做信玄的家臣,自己开了药店,把这个药叫做“河童的创伤药”来卖。
すると『カッパのきず薬』はたちまち評判となり、けがをした人が全国から買いに来るようになりました。
不久,“河童的创伤药”很快受到好评,受伤的人从全国过来买这个药。
おかけで店はどんどん大きくなって、守清が亡くなった後も書き残された薬の作り方によって、店は何代にもわたって繁盛したそうです。
多亏了这个药,这家店很快做大了,守清死了之后,后人根据守清写下留下来的药方,无论过了多少代,这家店还是很旺。
おしまい
結束
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