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        福娘童話集 > きょうの百物語 > 4月の百物語 > 大蛇とお尻 
         
      4月30日の百物語 
          
          
         
大蛇とお尻 
千葉県の民話 → 千葉県の情報 
     
    ・日本語 ・日本語&中国語 
      
       むかしむかし、ある旅人が宿屋を出発しようとすると、宿屋の主人が声をかけました。 
「お客さま、今からあの山を登って行くのですか? 
 それでしたら、くれぐれもお気をつけください。 
 実はあの山には、人食い大蛇が出るとのうわさです」 
 すると旅人は、内心おびえながらも、 
「平気平気。もし大蛇が出たら、反対におどかしてやりますよ。あはははは」 
と、強がりを言いました。 
 
 さて、宿屋を出発した旅人は、やがて山頂近くに到着しました。 
「何だか、薄気味悪い山だな。 
 これはもしかすると、本当に大蛇が出るかもしれないぞ」 
 ここから先は、細くて薄暗い道が続きます。 
「・・・急ぐ旅でもないし、いったん戻ろうかな? 
 ・・・しかし、意気地なしと思われるのも嫌だし」  
 怖くなった旅人は、どうしようかと迷いましたが、
 
「やっぱり、地元の人間の忠告は聞かないとな」 
と、やって来た道を振り返りました。 
 すると振り返ったところに大蛇がいて、大きな口を開いて旅人を飲み込もうとしたのです。 
「うぎゃーー! 出たー!」 
 旅人は持ち物を放り投げると、一目散に逃げました。 
 すると大蛇も負けずに、旅人を追いかけて来ました。 
「わあ、わあ、どうすればいいのだ!?」 
 旅人は少しでも大蛇が遅れる様にと、着ていた服を一枚一枚脱いで大蛇に投げつけました。 
 すると大蛇は投げられた服をパクリパクリと食べて、食べ終わるとまた旅人に襲いかかって来たのです。 
 こうして旅人は最後のふんどしまでも投げつけたのですが、大蛇はそれもパクリと食べてしまうと、また旅人に襲いかかって来ました。 
 旅人は必死で逃げますが、どうしても逃げ切る事が出来ません。 
 旅人の足がついにもつれて、旅人はお尻を丸出しのままで倒れてしまいました。 
「わあ、もう駄目だ!」 
 旅人が、お尻を突き出したままブルブル震えていると、大蛇は旅人のお尻を見てびっくりして、どこかへと逃げてしまいました。 
「たっ、助かったのか?!」 
 何とか助かった旅人は、無事に宿屋へ逃げ込む事が出来ました。 
「しかし、おれは、どうして助かったのだろう?」 
 話を聞いた宿屋の主人も、その理由が分かりませんでした。 
 
 実はあの大蛇、旅人の丸出しのお尻を見て、大きな口を持った化け物だと勘違いして逃げ出したのです。 
      おしまい 
         
         
         
        
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