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9月17日の百物語
(9月17日的日本鬼故事)
棺の中のかま

棺の中のカマ
棺中鐮

日本語 ・日本語&中国語

むかしむかし、ある村に、平太郎(へいたろう)という若者が、年を取ったおばあさんと二人で暮らしていました。
到好久以前、有條村裡面、一條喊平太郎的年輕人、還有和他上了年紀的婆住一起。

平太郎はとても気の強い男で、自分の事を『何でも平気(へいき)の平太郎さま』と自慢しています。
平太郎要強、經常以自己可以冷靜處事而自誇。

ある晩の事、村の若者たちが集まってお酒を飲んでいる時、一人の若者が言いました。
有條晚上、村子裡面的年輕人就聚到一起吃酒、裡面一條年輕人就港了。

「どうじゃ、肝試しをせんか?
來、我們試哈膽子去啊?

焼き場(やきば→火葬場)のお堂まで行って、棺(ひつぎ)の中の死人が胸に抱いとるカマを持って来るんじゃ」
去火葬廠停屍房幫棺材裡面死人抱到的鐮刀取過來。

むかしは死んだ人をすぐには焼かず、焼き場のお堂の棺に入れたまま、ひと晩置いておくならわしがありました。
現在人一死都是直接拉到火葬廠、以前不是、是先到火葬廠的大堂裡面放一夜再燒。

その時、死んだ人の体に魔物が取り付かない様に、魔よけのおまじないとして死人の胸にカマを持たせるのでした。
而且當時為了不讓死人被甚麼東西附體、都會幫心口前擺到把退魔的鐮刀。

「どうした? 誰も行けんのか?」
為(難道)不好啊?覓(沒)人去?

「・・・・・・」
「・・・・・・」
覓個人做聲

誰もが恐ろしがって、何も答えません。
這事這麼邪、覓人願意參與。

すると平太郎がニヤリと笑って、立ち上がりました。
平太郎這時候就一笑、站起來了。

「その話、何でも平気の平太郎さまが引き受けよう」
也是不怕尷尬的、就港這事就讓、甚麼事都不慌的你爹平太郎我來。

平太郎は一人で暗い夜道を歩いて行き、焼き場のお堂に入ると棺のふたを開けました。
平太郎這就走到蛆卵黑夜路上、幫停屍堂進了、棺材蓋開了。

棺の中からプーンと、死人のにおいがします。
裡面就一股死人的屍臭往外面潽。

「さて、カマはどこに・・・」
鐮刀啦

平太郎は手さぐりで死人の腹の辺りからカマを取り出すと、お堂の外に出ました。
太郎手就伸到棺材裡面摸、從死人肚子邊上幫鐮刀摸到手、這就過走了。

「簡単、簡単。帰るとするか」
簡單個卵卯翻天、這就想是不是要回去啦。

その時、どこからか人の声がしました。
突然人的聲音就出現了。

「まずいな」
太郎慌了一哈神。

こんなところを人に見つかると叱られるので、平太郎はカマを腰にさすと、そばの松の木によじ登りました。
但實際上太郎不是怕鬼、他是怕別個發現自己到這鬼地方搞這鬼案子、被曉得著罵、這就幫鐮刀往腰上一插、爬邊上的松樹上面去了。

そして木の枝に腰をかけて声のする方へ目を凝らしていると、やがてたくさんのちょうちんをともした行列がやって来ました。
這人就往樹枝上一胯、對到那條來聲音的地方認到的、來的是一條燈籠隊列。

その行列は棺をかついでおり、どうやら葬式行列の様です。
這一隊杖儀就幫條棺材抬到的、看架勢就是我們現在港的靈車出殯。

(はて、こんな真夜中に葬式が来るなんて)
怎麼是這大晚上搞這條事啦。
平太郎心裡面就覺得好怪


棺をかついだ行列の一行が、口々に言いました。
抬棺的這潽(群)人、這就又開始港話了。

「おーい、平太郎ー!」
喂、平太郎!

「平太郎ー、いるなら出てこーい!」
平太郎、人到就快點出來!

「お前のばあさまが、死んだぞー!」
你婆死了!

それを聞いて、平太郎はにやりと笑いました。
聽到自己婆死了、太郎反而還笑了起來。

(ヘへへっ、こいつらは化け物だな。おれをだまそうとしても、そうはいかんぞ)
因為太郎早就認定底下這一潽是鬼、想用這種手段騙自己落去根本不可能。

やがて行列は焼き場の前で止まると、棺から死人を取り出しました。
最後這隊人馬就到火葬場前面一停、棺材裡面幫死人一取。

(ありゃ。あの死人、うちのばあさまとそっくりじゃ。化け物も、なかなかやりおるわい)
這死人還長得真跟太郎他屋婆好像、太郎也是想這妖怪也是真厲害。

さすがは、何でも平気の平太郎です。
果然是碰到甚麼事都一點不慌。

平太郎は怖がるどころか、感心しながら見ていました。
太郎不僅不怕、自己就跟看電影樣的、還到期待等哈要怎麼演。

行列の一向は、まきを積み上げて死人を乗せると、まきに火をつけました。
這群傢伙現在就開始堆起柴火了、幫屍體往上面一放、點火。

そして行列は、来た道を戻って行きました。
完事、這就原路返回了。

(やれやれ、これですんだわい)
這為(難道)就完啦

平太郎が松の木から降りようとすると、死人を焼いている火が大きく燃え上がり、たきぎの上に寝かされていたおばあさんの死体が、ムクムクッと起き上がったのです。
平太郎這就準備幫松樹下了、燒死人那條火這哈子就變得好大好大、上面著燒的那條屍體這也慢慢動站起來了。

「うん? あれは何じゃ?」
甚麼鬼?

よく見ると起き上がったのはおばあさんではなく、口が耳まで裂けた恐ろしい鬼ババでした。
好甚看、起來的婆子、是條嘴巴開到耳朵後面的鬼婆。

鬼ババは火柱(ひばしら)の中に立ったままで周りを見渡すと、松の木にいる平太郎を見つけてわめきました。
鬼婆站到火柱中間、對到周圍邊上到處望、邏到太郎就作死的嬉。

「やい、この親不幸者め。
孽子、黃眼狗。

お前のおババが焼かれとるちゅうに、知らん顔とは何事じゃ!
你就看到自己婆著火燒、一點反應都覓得了啊!

お前の様な奴は、食うてやる!」
像你這種人、就該被我吃!

鬼ババは火の中から飛び出すと、平太郎が登っている松の木をゆさゆさとゆさぶり始めました。
鬼婆從火裡面衝出、進到松樹底下就開始作死的搖。

「こりゃ、落とされてはかなわん!」
這一落去稀爛。

平太郎が木にしがみつくと、鬼ババは木をゆさぶるのを止めて、鋭いつめでガリガリと木を登ってきました。
太郎到樹上抓緊了、這次鬼婆不搖了、用尖指甲摳到松樹往上面爬。

「まずい!」
我日!

平太郎は上へ上へと逃げますが、やがて木のてっぺんまで来てしまいました。
太郎就一直再繼續往上、這就登頭(頂)啦。

もうこれ以上は、逃げる所がありません。
這哈覓地方跑了。

やがて追いついた鬼ババが、平太郎の片足をつかみました。
鬼婆也攀上來了、幫太郎一隻踋一捏。

「さあ、もう逃がさんぞ! 食うてやるから、覚悟しろ!」
跑!再跟我跑啊、幫準備跟我做了、我這就要開始吃了。

すると平太郎は腰のカマを抜いて、鬼ババ目掛けて振り下ろしました。
太郎這就幫腰上面的鐮刀一抽、對到鬼婆搲(鋤)過去。

「食らえっ、鬼ババめ!」
跟爹死!

平太郎が振り下ろしたカマが鬼ババの首を切り裂いて、鬼ババは悲鳴を上げながらまっさかさまに落ちていきました。
太郎這鐮刀一揮、鬼婆腦殼瞬間寸斷、鬼婆一嚎這就顜頚往地上一栽。

ギャーーーーーッ!
ドシーン!!
叫聲
落地聲。


地面に落ちた鬼ババは、それっきり動かなくなってしまいました。
鬼婆下了地也就不動到那裡了。

翌朝、平太郎が木の下を見ると、鬼ババの姿がありません。
還要等到早上太郎才敢從樹上落來、鬼婆子這都不見了。

「鬼ババめ、どこへ行った?」
人啦?這是跑哪裡去了?

平太郎が木から下りて辺りを調べていると、帰って来ない平太郎を心配して村の若者たちがやって来ました。
太郎才一下樹準備邏、村裡面的年輕人看太郎去了一直覓回來這都過來邏他來了。

「おおっ、平太郎。無事だったか」
你人覓事啊。

そして平太郎から話を聞いた若者たちも一緒になって辺りを調べると、何とお堂の中で首をカマで切られた古ダヌキが死んでいたという事です。
年輕人也聽了太郎港的鬼婆、這就到附近一起開始邏、後面到停屍房裡面幫一條死了斷腦殼的老狸子過邏到了。

おしまい
结束

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