|
|
ふくむすめどうわしゅう(福娘童話集) >ひゃくものがたり(百物語) >十月
化け物寺の三味線(しゃみせん)
妖怪寺的三味线
翻訳者 河南省周口师范学院 王安琪
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
むかしむかし、ある村に、化け物が住むと言われる古い空き寺がありました。
很久很久以前,据说在某个村子里,有一座住着妖怪的废弃寺庙。
その空き寺に泊まった者は、誰一人帰って来ないそうです。
传说在那废寺庙里过夜的人,没有一个能活着回去的。
ある日、村一番の力自慢が、空き寺に泊まりに行きました。
有一天,村子里最有力气的壮汉决定去废庙里住上一晚。
「アッハハハハ。化け物ぐらい、おれが退治してみせるわ」
“啊哈哈哈,不就是妖怪嘛,看我不消灭了你!”
空き寺に入った男は、持って来たお酒を飲みながら、化け物が現れるのを待ちました。
来到了废庙的壮汉,一边喝着带来的酒,一边等妖怪现身。
すると天井から、スルスルスルッと、何かがおりてきました。
这时从房梁上,有什么东西徐徐地垂了下来。
見るとそれは、三味線(しゃみせん)です。
仔细一看,原来是三味线。
「なんだ、三味線ではないか。どれ、ひまつぶしにひいてみるか」
“我当是什么呢,这不是三味线吗。哎,弹一会吧,就当打发时间了。”
男が三味線に手をのばすと、
ペタリ。
と、三味線に手がくっついて離れません。
壮汉伸手去拿三味线,“啪”的一声,他的手就紧紧地黏在三味线上拿不下来了。
「ややっ、これはいかん」
“哎呀,这可不行呀!”
男が三味線を足で蹴飛ばすと、足も三味線にくっついてしまいました。
他想用脚把三味线踢飞,结果脚也紧紧地黏在三味线上了。
「これは、どうした事だ? なんとかせねば!」
“这到底是咋回事!!我得赶紧想想办法!”
男があせってもがくと、髪の毛も顔も三味線にくっついてしまい、どうする事も出来ません。
壮汉焦急地挣扎着,最后连头发和脸也黏在三味线上,怎么都弄不下来。
「わあーっ、助けてくれー!」
“哇!!救命啊!!!”
男が泣き叫ぶと、三味線は男をくっつけたまま天井へ上がって行き、天井裏にひそんでいた化け物に男は食べられてしまいました。
他又哭又叫,三味线黏着他一点点升到了房梁上,藏在上面的妖怪把壮汉吃掉了。
男が化け物に食べられてから数日後、この村を通りかかった旅のお坊さんが化け物寺の事を耳にしました。
妖怪把壮汉吃掉后不久,一位碰巧经过这个村子的云游僧人听说了妖怪寺的事情。
「化け物の正体を、わたしが暴いて見せましょう」
“就让我来揭露这个妖怪的真面目吧!”
それを聞いた村人が、あわててお坊さんを止めました。
听到他这么说,村民们慌忙阻止了他,说道:
「とんでもねえ! 村一番の力自慢でも、化け物にやられてしまっただよ」
“这怎么可能呢!村里面最有力气的男人都被那妖怪杀死啦!”
「いや、心配はいりません。すみませんが明日の朝に、様子を見に来てください」
云游僧人说:“没事,不用担心。请各位乡亲明天早上过来看看吧。”
その夜、お坊さんが化け物寺に泊まっていると、天井からスルスルスルッと、三味線がおりてきました。
当天晚上,僧人住在妖怪寺里的时候,三味线又从寺庙顶徐徐垂了下来。
「天井から三味線とは、いかにも怪しい」
“从房顶上垂下来的三味线,这怎么想都很可疑呀。”
お坊さんは三味線に手を出さず、じっと天井を見つめました。
僧人说着,并没有伸手碰那三味线,而是目不转睛的看着房梁。
「天井裏に、何かがいるようだ。・・・そこだな!」
“房梁上好像有什么东西…就在那儿!”
お坊さんは、持っていたつえを天井に投げつけました。
僧人把手里的手杖朝上扔了出去。
するとつえは天井に突き刺さり、天井裏からものすごい悲鳴があがりました。
手杖戳到了房梁上,然后从那里传来了一阵可怕的尖叫声。
ギャーーーーーーッ!
“呀!!!!!!!”
その悲鳴は朝まで続きましたが、心配した村人が様子を見に来た頃には、物音一つしなくなりました。
这阵尖叫声一直持续到了早晨,等到十分担心的村民赶来时,已经没有动静了。
「お坊さま、大丈夫でしたか。それで化け物は、どうなりました?」
“大师,您没事吧?那妖怪现在怎么样了?”
お坊さんは、つえが突き刺さった天井を指差して言いました。
僧人指着房梁说到:
「化け物は、おそらく天井裏で死んでいるはず。一緒に見に行きましょう」
“妖怪应该已经死在房梁上了。我们一起去看看吧。”
そこで村人たちとお坊さんが天井裏を調べると、天井裏にはたくさんの人の骨と一緒に、人よりも大きなクモがお坊さんのつえに体を貫かれて死んでいたという事です。
于是村民们和僧人一起往房梁上看去,他们在那里看到了很多人的骨头,还有一只被手杖刺穿身体而死的、比人还要大的大蜘蛛。
おしまい
結束
(回到上一页)
|
|
|