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12月10日の日本民話
二股大根(まっ赤大根)
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むかしむかし、お腹の調子を崩していた大黒さまが、旅の途中で川の近くを通りかかりました。
するとその川で、長者の家に雇われている人が山の様に積んだ大根を洗っていたのです。
むかしから大根は、お腹の調子を整えると言われているので、大黒さまはその手伝いの人に頼みました。
「すみません。実は、お腹を崩して困っております。どうか薬代わりに、その大根を一本くれませんか?」
すると、手伝いの人は、
「そうですか。しかしこの大根は、旦那さまに数を数えられているので、一本でも無くなるとわたしが怒られてしまいます。申し訳ありませんが、差し上げる事は出来ません」
と、断ったのです。
そしてたくさん洗っているうちに、先の方が二股になっている大根が出てきたので、手伝いの人は、
(さすがの旦那さまも、この大根を二本とは数えていないはず)
と、思い、二股に別れた大根の小さな一本をちぎって、先を歩く大黒さまを追いかけました。
そして、大黒さまに追いつくと、
「失礼ですが、これで我慢して下さい」
と、半分の大根を大黒さまに差し出したのです。
するとそれを食べた大黒さまは、とてもすっきりした顔をして、
「おかげさまで、お腹の調子が良くなりました」
と、礼を言って去って行ったそうです。
この日は12月10日だと言われており、それから12月10日には、二股大根を大黒さまに供える様になったそうです。
おしまい
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