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      第 2話 
          
          
         
鬼七兵衛(おにしちべえ)の大力(たいりき) 
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投稿者 「宵菜」  和茶和茶屋 
      
      
       むかしむかし、城崎の来日(くるひ)というところに、とても力の強い百姓がいました。 
 名前を『鬼七兵衛(おにしちべえ)』という、大男です。 
 さて、いつの頃からか来日の村の入口にある『堂々(どうどう)の辻地蔵(つじじぞう)』というところに、恐ろしい化け物が住みつくようになったのです。 
 そしてそばを通る百姓を、片っぱしから食べてしまうのです。 
 その化け物が、鬼七兵衛のうわさを聞いて、 
「ぜひ、力比べをしたいもんじゃ」 
と、鬼七兵衛に果たし状を出したのです。 
 そして鬼七兵衛も、 
「村人をいじめる化け物めが、このわしが退治してやるわ」 
と、申し出を受けました。 
 しかしいくら大力の持ち主とはいえ、相手が化け物では勝てません。 
 鬼七兵衛は何を考えたのか、その日になると家でえんどう豆を煎り始めました。 
 そうしてそれを左のたもとに入れ、右のたもとには小石を入れて出かけて行きました。 
 やがて化け物が現れると、鬼七兵衛は左のたもとの豆を口に入れて、バリバリと音をたてて食べ始めました。 
 そして右のたもとの小石をつかむと、 
「ちょっと固いが、お前に食えるか?」 
と、化け物にさし出したのです。 
「ふん。人間のお前に食える物が、わしに食えないはずがないわ」 
 化け物は小石を口に入れましたが、さすがの化け物も小石をかみ砕く事は出来ません。 
「うぎゃあーー! 歯が痛いー!」 
 歯がボロボロになった化け物は、泣きながら逃げていき、それから二度と姿を見せなかったと言う事です。 
      おしまい 
         
         
         
        
 
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