福娘童話集 > 日本民話 > その他の日本民話 >わがままな星神さま 
      第 5話 
          
          
         
わがままな星神さま 
島根県の民話 → 島根県情報 
 
・日本語 ・日本語&中国語 
 
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先 
 
制作: フリーアナウンサーまい【元TBS番組キャスター】 
      
       むかしむかし、隠岐島(おきのしま)に、熱風(ねっぷう)が突然ふき出してきたかと思うと、東の空からまっ赤に燃えた火の石が一個とんできました。 
 火の石は海辺の波うちぎわに落ちて、波間から光を発していました。 
 石は鳥のような形をしており、六十センチほどの大きさです。 
 海辺の人たちは、 
「光を見ると、目がつぶれるぞ」 
と、家の雨戸をしめて、石の方を見ないようにしていました。 
 でも、これでは漁にもでられません。 
 困ったことになったと村人たちが思っていると、海辺の村にすむ一人の漁師の夢に、天からふってきた星神(ほしがみ)だと名乗る老人が現れて、 
「わたしをあのままにしておかずに、早くどこかにまつるように。それから、光をおそれることはない」 
と、告げたのです。 
 村の人たちはさっそく、重い星の石を海の中から運んで、砂浜に社(やしろ)をつくってまつりました。 
 それから何日かすると、星神だという老人が、またほかの人の夢に現れて、 
「あそこは気にいらない。ほかの場所へ移してほしい」 
と、いうのでした。 
 わがままな星神は、その後も何度も場所をかえさせました。 
 そして最後に決まった場所は、島で一番高い山の頂上でした。 
 星神は重いので運ぶのに苦労をしましたが、星神は高いところが気にいったようで、それからは何もいわなくなりました。 
 星神は、そのころにはもう光を発しなくなっていましたが、山の頂上にまつったときから、島では豊漁(ほうりょう)がつづくようになったのです。 
 島の人たちは星神をまつった山を、いつしか「星山(ほしやま)」と呼ぶようになり、豊漁を喜んでいましたが、三年後に別の星神がふってくると、どうしたことか、豊漁はおわってしまったという事です。 
      おしまい 
         
         
         
        
 
     |