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第 98話
白い竜
長野県の民話 → 長野県情報
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投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読
【大人も子供も眠れる 優しい朗読】日本人の知らない日本昔話集 神話 龍の物語
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制作: フリーアナウンサーまい【元TBS番組キャスター】
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投稿者 「あーる」 【眠れる朗読】
むかしむかし、長崎のお坊さんが、用事で京の都まで出かけました。
その帰りに、佐賀の温泉宿に泊まりました。
お坊さんは長旅の疲れを温泉でいやし、ぶらりと散歩に出ました。
お坊さんが、ふとがけの下に目をやると、池のようなものが見えました。
湯あがりでのどがかわいていたので、おりて行ったお坊さんは手ですくって水を飲みました。
「うむ。これはうまい!」
とてもおいしい水なので再び水をすくおうとすると、透明な池の底で何かが動いているように見えました。
「おや? 何だろう?」
目をこらすと、これがなんと白い竜です。
まっ白な竜が、じっと池の底にへばりついていたのです。
頭に二本のツノがあり、首の後ろにはたてがみが生えていて、それが水草のようにゆっくりゆらいでいました。
長い口ひげもあり、白銀色のうろこまでが一枚一枚はっきり見えます。
豆つぶほどの小さな目玉は開いているのですが、ピクリとも動きません。
ちょうどその時、がけの道をおりて来る人たちがいました。
宿屋のお客だったので、お坊さんは手まねきをすると、白竜のことを教えてやろうと声をあげました。
するとその声に驚いたのか、白竜は水にとけるようにどこかへ姿を消してしまいました。
宿に戻ったお坊さんとお客たちは、宿屋の主人にさっきの白竜の話をしました。
すると主人は、こんな話をしてくれました。
「白竜の事は、わたしも子どものころから聞いております。
裏の山の神ですが、これまで誰もその姿を見た者はおりません。
あの池の奥には、どのくらい広いかわからないほど大きな洞窟があるのです。
白竜は、そこにいるといわれています。
神の白竜をごらんになられたのですから、お坊さまは幸運でしたね」
白竜を見たこのお坊さんは、その後、白竜山人(はくりゅうさんじん)と名乗り、自分が見た白竜を絵かきにかかせていつも自分の部屋にかかげていたという事です。
おしまい
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