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2月23日のイソップ童話
山賊とクワの木
山賊がかいどうで1人の旅人を殺しましたが、近くにいた人々が追いかけてきたので、手が血で血まみれになったまま逃げました。
ところが、むこうからも旅人たちがやってきて、
「おや、あなたの手はどうしてそんなに赤くよごれているのですか」
と、たずねました。
「いえ、なに、いまクワ(→詳細)の木にのぼって、実をとっていたものですから」
クワの実は、赤い色をしています。
山賊がこう言ってごまかしているとき、追っての人たちが追いついて、山賊をつかまえ、クワの木にしばり首にしました。
そのとき、クワの木が山賊にいいました。
「おまえをしばり首にするのに役に立って、わたしはうれしいよ。だって、おまえは人を殺したくせに、手についた血をわたしのせいにしたのだからね」
生まれつき心のやさしい人でも、悪いやつにぬれぎぬをきせられれば、そのあいてに対して手厳しいことをいったり、したりするものです。
おしまい