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6月9日のイソップ童話
2匹のコガネ厶シ
ある小さな島に一頭のウシがいて、2匹のコガネムシ(→詳細)が、そのウシのフンを食べてくらしていました。
冬が近づいたある日、一ぴきのコガネムシが、もう一ぴきのコガネムシにいいました。
「ぼくは、むこうの陸地へわたろうと思うんだ。ぼくがいなければ、きみは、ひとりで2人ぶんのフンが食べられるからね。ぼくはあっちで冬をすごしてくるよ。そしてもし、あの陸地に食べ物がたくさんあったら、かえりにきみに持ってきてあげよう」
こう約束して、一ぴきのコガネムシは陸にわたりました。
ついてみると、そこにはたくさんのあたらしいフンがありましたので、そこに落ちついてたっぷり食べました。
冬がすぎると、もとの島にかえってきました。
島にのこっていた友だちのコガネムシは、たずねました。
「やあ、きみは、ずいぶんふとって、元気そうになったね。あっちにごちそうがたくさんあったら、ぼくに持ってきてくれるといっていたけれど、おみやげはどうしたんだい」
そして、おみやげがないことがわかると、
「ひどいじゃないか」
と、おこりました。あいては、
「うらむなよ。ぼくのせいじゃなくて、あっちの陸地では、いるあいだはいくらでも食べることができるけど、なにひとつ外へ持ちだすことはできないことになっているんだ」
と、すましていいました。
友だちに親切そうな顔をして、ごちそうによぶていどのことはするけれど、それ以上に友だちのためにつくすことはいやだ、という人に、この話を聞かせてやるとよいでしょう。
おしまい