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6年生のイソップ童話
キツネとハリネズミ
ギリシャのエーゲ海の島のサモスで、1人の政治家が死刑(しけい)をいいわたされたときに、イソップがその命を助けようとして、こういう話をしました。
「キツネが川をわたろうとするときに、流されて、がけの岩のあいだにはさまりましたが、そこから出ることができず、長いあいだ、くるしんでいますと、ダニがたくさんたかりました。そこへやってきたハリネズミが、それを見て気のどくにおもい、ダニをとってあげようかといいますと、キツネはとらずにおいてもらいたいといいました。ハリネズミがどうしてかと聞きますと、『こいつらは、わたしの血を、もうたくさんのんだから、あとはたいして吸(す)わないが、こいつらをとってしまうと、おなかのすいたべつのダニがきて、のこりの血をのんでしまう』と、いいました」
それからイソップは、ことばをつづけていいました。
「ところで諸君(しょくん)。この政治家は、このさきもう害をくわえません。金持ちになっているからです。ところが、諸君(しょくん)がこの人を殺せば、ほかのびんぼうなやつがやってきて、諸君(しょくん)の国のお金を、こっそりつかってしまいます」
イソップの話に感心した人たちは、その政治家をゆるしてやることにしました。
けんりょくを持った人は、まず自分のためにはたらき、自分がじゅうぶん力をつけて後で、人のためにはたらくことを、この話はおしえています。
おしまい
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