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1月7日の日本民話
  
  
  
  ものぐさ桃太郎
  鳥取県の民話 → 鳥取県情報
 むかしむかし、おじいさんとおばあさんと、そして桃太郎がくらしていました。
   天気のいい日には、おじいさんが山へしばかりに、おばあさんは川へせんたくにいきますが、桃太郎は毎日遊んでばかりいるのです。
   そこである日、おじいさんが言いました。
  「桃太郎や、お前も大きくなったんだから、小さい子どもみたいに遊んでばかりおらんと、少しは人の助けになることをしないといかんぞ」
  「ああ、わかった。じゃあ、出かけてくる」
   桃太郎はそういうと、そのままどこかへ出かけていきました。
   夕方になり、おじいさんとおばあさんとが仕事から戻ってきても、桃太郎はまだ帰ってきません。
   実は桃太郎、何か仕事をしようと、めずらしく山へ出かけていったのですが、いままで一度も木を切ったことはないし、たきぎをひろうことも知りません。
   それで一日中、木の根っこをまくらにして寝ていたのです。
   目が覚めると、もう夕方でした。
   そして、その木の根っこにジャージャーとおしっこをして、根っこの土をやわらかくすると、その木をズボッと根っこごと引き抜いたのです。
   そしてその引き抜いた木をかつぐと、桃太郎は家へと帰っていきました。
  「じいさん、ばあさん、いま、かえったよ。おら、今日は仕事をしたんだぞ」
  と、いいながら桃太郎は、かついできた木を家の屋根にたてかけました。
   そして家に入ろうとしたとたん、たてかけた木の重みで、家がミシミシつぶれてしまったのです。
   かわいそうに、おじいさんもおばあさんも、つぶれた家の下じきになって死んでしまいました。
   桃太郎は、しばらくぼうぜんとしていましたが、やがて気を取り直すと、
  「まあ、すんでしまった事は仕方ねえ。それより仕事をして疲れたから、もう寝るとするか」
  と、そのままつぶれた家をまくらに、高いびきをかきながら寝てしまったそうです。
 なんなんでしょうね、このお話しは。
おしまい