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1月28日の日本民話

白竜湖の琴の音

白竜湖の琴の音
山形県の民話山形県情報

 むかしむかし、置賜平野(おきたまへいや→山形県)の村々は、日照りが続いてこまっていました。
 村人たちは山の神や水の神に火をたいて、何日も何日も雨ごいをしましたが、一てきの雨も降らずに、太陽が照りつけるばかりでした。
 こまりはてた庄屋(しょうや)さんが、巫女(みこ)のところへ出かけていって、水神(すいじん)さまに雨が降るようにお願いしてもらうことを頼みました。
 巫女が湖の岸辺の水神のほこらの前でお祈りをしたところ、しばらくして巫女の口を通じて、
「わしは湖に住む竜神(りゅうじん)じゃが、わしもそろそろ嫁が欲しい。村の中から嫁を選び、三日のうちに嫁入りをすれば雨を降らせよう」
と、お告げがあったのです。
 村人全員が庄屋さんのところへ集まり、どこの娘がよいかと話しあいましたが、自分の娘を嫁に出そうという者がおらず、いつまでたっても決まりませんでした。
 その時、こまりはてた村人たちの前へ庄屋さんの娘が進み出て、
「村の為なら、喜んで竜神の嫁になりましょう」
と、申し出たのです。
 急な事なので嫁入り道具が何もありませんが、娘の大切にしていた琴(こと)を持たせて、白い晴れ着姿の娘を村人たちは湖の岸辺まで見送り、泣き泣き村へひきかえした時、雷鳴(らいめい)がとどろいてザワザワと風がふくと、湖のまんなかにすさまじい水ばしらが立って、二匹の竜が天にかけ登って行ったのです。
 二匹のうち一匹の竜は、白い晴れ着姿の娘と同じく、まっ白な竜でした。
 まもなく、二匹の竜が登った空から大つぶの雨が降って、村は救われたのです。
 それから湖は白竜湖(はくりゅうこ)と呼ばれ、霧雨(きりさめ)の降る日には、湖の中から美しい琴の音がきこえてくるという事です。

おしまい

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