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2月8日の日本民話
ヘビになったマメのサヤ
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むかしむかし、ある村の役人のところに、はるばる京の都から、清滝姫(きよたきひめ)という美しい娘が嫁入りしてきました。
清滝姫は新しい生活になれてくると、もう亡くなっている両親のために、村にりっぱなお寺をたてました。
ところが、お寺の完成がちかづいたときのことです。
夜になると毎晩、村の南東の方角からお寺にむかってエノキの小枝が飛んでくるのです。
「何か悪い事がおこる前ぶれではないか?」
と、村の人たちはうわさしました。
村の人たちは気味がわるいので、都から有名な占い師を呼んで占ってもらうと、
「これは南東の方角にあたる、染井(そめい)の峰(みね)のしわざであるぞ。染井の峰の山が、この寺にエノキの小枝を投げつけるのじゃ。染井の峰は、ここに寺ができるのをよく思わず、悪さをしておるのじゃろう」
と、いうのでした。
そしてお寺に、エノキの木を植えればよいとつけくわえました。
村の人たちは占い師がいうとおりに、染井の峰からエノキの木を持ってきて境内(けいだい)に植えると、おかしなさわぎもおさまって、お寺もりっぱに完成したのです。
それから長い年月をかさねていくうちに、清滝姫がたてたお寺はくちはててしまいましたが、そのお寺の跡で不思議な事がおこったのです。
お寺の跡の近くの高台に畑をつくっていた村のお百姓(ひゃくしょう)が、大角豆(ささげ)というマメをまいたところ、たくさんの収穫(しゅうかく)がありました。
お百姓はよろこんで取り入れをすると、このマメを煮て食べるためにサヤをむきました。
すると、むいたあとのすてたサヤが動きだして、何十匹もの金色のヘビになったのです。
「な、な、なんじゃ。これは?」
お百姓は、ビックリ。
いそいでむしろ袋にヘビをつめこむと、マメをとった畑へ持っていって土の中にうめてしまいました。
それを聞いた、村のお年寄りは、
「畑のある高台は、清滝姫のお墓があったところじゃ。ヘビはその清滝姫を守っておったんじゃろう」
と、いったという事です。
おしまい