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1ねんせいのにほんみんわ
げんこつ の ほうび
にいがたけん の みんわ
むかしむかし、 あるくにの とのさまが、
《めずらしいものを もってきたら、 ほうびを とらせる》
と、 いう おふれを だしました。
それを きいた ひとたちは、 めずらしいものを もって、 つぎつぎと しろへ でかけました。
でも、 とのさまは だれよりも おかねもちなので、 どんなに めずらしい ものでも、 しろに ないものは ありません。
「なんだ こんなもの、 ちっとも めずらしくない」
と、 いって、 みんな おいかえされて しまいました。
さて、 このくにに カブを つくっている おひゃくしょうさんが いました。
おひゃくしょうさんは、 いままで みたことも ないような おおきなカブを つくろうとして、 ながいあいだ、 くろうを かさねてきました。
そして そのくろうが みのって、 おおきな いわみたいな カブが できたのです。
「これなら、 しろには あるまい」
おひゃくしょうさんは きんじょの ひとに てつだって もらって、 そのカブを にぐるまに のせると、 しろへ はこんで いきました。
ところが しろの もんばんが、
「なんじゃい、 このカブは。 カブなんて ちっとも めずらしくない。 さあ かえった、 かえった」
と、 いって、 なかへ いれてくれません。
「でも、 おらが いっしょうけんめい つくったカブです。 こんな おおきなカブは ほかに ありません。 とのさまに ひとめ、 みていただくだけで いいのです」
おひゃくしょうさんが あまりにも いっしょうけんめい たのむので、 もんばんは とのさまのところへ いって、 おおきなカブのことを はなして くれました。
すると、 とのさまは よろこんで、
「すぐ、 もってくるように」
と、 いいました。
「わしの おかげで、 とのさまが みてくださるそうだ。 いいか、 もし ほうびを もらったら、 わしにも はんぶん よこせ。 わかったな!」
もんばんは、 おどすように いいました。
「はい、 しょうちしました」
おひゃくしょうさんは、 しろの にわへ にぐるまを ひいて いきました。
とのさまは にぐるまの うえの カブを みて、 めを まるくしました。
これほど おおきなカブは、 みたことも きいたことも ありません。
「これは めずらしい。 よくぞ ここまで そだてあげた。 ほうびを とらすから、 なんでも ほしいものを いうがよい」
とのさまは、 ニコニコして いいました。
でも、 おひゃくしょうさんは ほうびよりも、 おおいばりしている もんばんを こらしめてやろうと おもいました。
そこで、 おそるおそる とのさまに わけを はなして、
「おらに、 げんこつを 10こ ください」
と、 いったのです。
「よし、 よし。 のぞみと あらば、 げんこつを あげよう。 もっと ちかくへ きなさい」
おひゃくしょうさんは、 とのさまの まえに すすみでて あたまを さげました。
とのさまは おひゃくしょうさんの あたまを、 そっと 10かい たたいて いいました。
「おまえは しょうじきものだ。 ほんとうの ほうびは、 あとで けらいに とどけさせよう」
「ありがとう ございます」
おひゃくしょうさんは よろこんで にぐるまを ひき、 しろのにわを でていきました。
もんのところへ くると、 もんばんが まちかねていたように いいました。
「どうじゃ。 とのさまに ほうびを いただいたか?」
「はい、 おかげさまで」
「それじゃ、 やくそくどおり はんぶん もらおうか」
もんばんは おひゃくしょうさんの まえに りょうてをだした、 そのとたん、 おひゃくしょうさんは こぶしで、 もんばんの あたまを おもいきり なぐりつけました。
「な、 なにを する!」
もんばんは、 あたまを かかえて すわりこみました。
「おらが とのさまから もらった ほうびは、 げんこつが 10こだ。 はんぶん あげるから かくごしろ!」
おひゃくしょうさんは こぶしを にぎりなおすと、 あと 4かい、 おもいっきり もんばんの あたまを なぐりつけました。
はたけしごとで きたえた ちからで なぐられては、 さすがの もんばんも たまりません。
そのまま ひっくりかえって、 のびて しまいました。
「ざまあみろ」
きもちが スッキリした おひゃくしょうさんは、 いえに かえって いきました。
いえに かえると すぐに、 とのさまからの ほうびの おかねが とどきました。
よろこんだ おひゃくしょうさんは、 そのおかねで むらの ひとたちに ごちそうを したということです。
おしまい
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