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5月18日の日本民話
キツネの恩返し
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むかしむかし、ある村に、人をだます事の上手なキツネが現れるようになりました。
キツネは夜になると娘に化けて、酒に酔った人のみやげをぬすんだり、風呂に入れるといって、川や沼に入れたりしておもしろがっていたのです。
ある夜の事、キツネは娘に化けて村はずれでまっていると、次助(じすけ)じいさんが通りかかりました。
キツネは道ばたにうずくまって、
「次助じいさん、わたしはお腹が痛くて歩けないの。どうか村まで背負って下さいな」
と、たのんだのです。
ところがこの次助じいさん、なかなかのやり手で、
「これはこれは、こんな美人の娘を背負えるのは、なんともありがたいこっちゃ」
と、キツネの娘をひもでしっかりと背中にしばり、歩きはじめたのです。
村の入口まで来ると、キツネの娘は、
「もう、お腹は治りました。一人で歩けますので、おろしてください」
と、頼みましたが、次助じいさんはきこえないふりをして、村の者が集まっている場所まで背負い、
「キツネをつかまえたぞ! みんなでしばりあげろ!」
と、いって、村人みんなでキツネをしばりあげると、枯れ草を燃やした煙でキツネをいぶりたてました。
キツネの娘は苦しくて、とうとう正体をあらわしてしまったのです。
「さて、このキツネをどうしてくれようか?」
村人たちは相談して、このイタズラギツネをキツネ汁にして食べてしまおうという事になりました。
すると、今までだまってみていた善作(ぜんさく)じいさんが、
「殺すのはかわいそうだから、放してやってくれ」
と、みんなに頼みこみ、善作じいさんはキツネに、
「もう、決して悪さをするんじゃないぞ」
と、よく教えてから逃がしてやったのです。
それからは悪い事をするキツネはいなくなり、キツネの恩返しなのか、善作じいさんには良い事ばかりつづいて、とうとう村一番の長者になったという事です。
おしまい