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3年生の日本民話(にほんみんわ)
長すぎたわらぞうり
高知県(こうちけん)の民話(みんわ)
むかしむかし、ある大きな屋敷(やしき)に、万六(まんろく)というお百姓(ひゃくしょう)さんが働(はたら)いていました。
ところが、この屋敷(やしき)の主人(しゅじん)はひどいわがままで、少しでも気にいらないことがあると、すぐどなりつけるのです。
ある時、主人(しゅじん)が万六を呼(よ)んで、
「明日の朝、早くに出かけるから、お城(しろ)までのわらぞうりをつくっておくように」、
と、言いました。
万六は、さっそくワラを山ほど持(も)ってきて、やわらかく打(う)ちはじめました。
「あんなにたくさんワラを打(う)って、どうしようというのだろう?」
主人(しゅじん)は、不思議(ふしぎ)に思いましたが、
「まあいい。きっと、たくさん作るつもりだろう」
と、そのままにしておきました。
ところが万六は、仕事場(しごとば)にこもって、夜も寝(ね)ないでわらぞうりをあんでいます。
「うむ、なかなかの働き者(はたらきもの)じゃ」
主人(しゅじん)は感心(かんしん)して、寝床(ねどこ)に入りました。
次(つぎ)の日の朝早く起(お)きてみると、万六はまだ仕事(しごと)をつづけています。
「万六、そろそろ出かけるから、わらぞうりを持(も)ってきてくれ」
主人(しゅじん)が言うと、万六がこまったように言いました。
「だんなさま、きのうから寝(ね)ないでわらぞうりをあんでいますが、まだできません」
「そんなバカな。三足もあれば、たくさんなんだぞ」
主人(しゅじん)は、仕事場(しごとば)にきてみてビックリ。
万六は、まるでおびのように長いわらぞうりをつくっていて、後ろにうず高くもりあげているのです。
「万六、そりゃなんだ?」
すると万六さんは、いよいよこまって、
「すみません。お城(しろ)までのわらぞうりと言われたので、いっしょうけんめいつくりましたが、まだこれだけで」
と、言って、あみつづけのわらぞうりの先をふって見せました。
「城(しろ)まで続(つづ)くわらぞうりなど、誰(だれ)がつくれと言った!」
だんなさんは、すっかり腹(はら)を立てましたが、いまさらどうすることもできません。
「しかたがない。わらぞうりはどこかで買うとしよう」
と、言って、古いわらぞうりをはいて出かけていきました。
万六はそれを見て、ニヤリと笑(わら)いました。
「ふん、からかわれているとも知らずに」
イタズラでも一生懸命(いっしょうけんめい)する、万六でした。
おしまい
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