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2年生の世界昔話(せかいむかしばなし)
ミツバチマーヤの大ぼうけん
ボンゼルスの童話(どうわ)
ミツバチのマーヤは、きょう、はじめて巣(す)の外(そと)へ飛(と)びました。
しばらくいくと、すばらしいにおいのバラを見つけました。
そっと、とまると、花びらの中からバラコガネが出てきました。
「こんにちは」
バラコガネは、マーヤが気にいって、バラのみつをおなかいっぱいごちそうしてくれました。
マーヤは一日じゅう飛び回(とびまわ)って、その日はつりがねそうの花の中で眠(ねむ)りました。
つぎの日は、雨でした。
羽(はね)がぬれてしまうので、マーヤが困(こま)っていると、
「ぼくは平気(へいき)だ。ぼくは、バラコガネの仲間(なかま)。名まえはクルト」
得意(とくい)そうにいいながら、出てきた虫がありました。
ところがいったとたん、クルトはすべってひっくり返(かえ)ってしまいました。
「助(たす)けて! ぼくは背中(せなか)が丸(まる)くて、ひとりでは起(お)きられないんだ。起(お)きられないと、死(し)んでしまうんだ。助(たす)けて」
マーヤはなんとかして、クルトを助(たす)けようと思(おも)いました。
急(いそ)いで、そばにはえていた長(なが)い葉(は)の草をしならせるといいました。
「さあ、この葉(は)にしっかりとつかまって、ほら」
マーヤは羽(はね)が、びしょぬれになるのもかまわずに、クルトを助(たす)けました。
つぎの日は、すばらしいお天気でした。
マーヤは長(なが)い足の、バッタに会(あ)いました。
バッタのあいさつは、とても変(か)わっていました。
「ぼくは」
と、いったとたんに、とんでいってしまって、あらっと思(おも)っていると、ピョーンともどってきて、続(つづ)きをいうんです。
つまり、こうです。
「ぼくは、『ピョーン』 バッタさ。『ピョーン』 きみは、『ピョーン』 だれだい」
昼(ひる)に、なりました。
おなかのすいたマーヤは、木イチゴの間(あいだ)を飛(と)んでいました。
そのとき、なにかがフワリと肩(かた)にかかりました。
「なにかしら?」
なんと、それはクモの糸です。
マーヤは、クモにつかまってしまったのです。
「もうだめ、さようなら、お日さま」
そのとき、木の下を、あのクルトが通(とお)りかかりました。
「マーヤじゃないか。元気(げんき)かい? ・・・うん? あっ! クモの糸だな。よし、待(ま)ってろ!」
クルトは、マーヤがつるされている枝(えだ)に急(いそ)いで登(のぼ)ってくると、マーヤをしっかりかかえて飛(と)びおりました。
クルトは、マーヤに助(たす)けてもらったことを、忘(わす)れていなかったのです。
「ありがとう、クルト」
夜(よる)に、なりました。
マーヤは、すばらしい世界(せかい)を見ました。
銀色(ぎんいろ)に光(ひか)る草の露(つゆ)から生まれる、妖精(ようせい)です。
マーヤは夜(よる)の間(あいだ)、妖精(ようせい)と遊(あそ)んで、ウキウキしながら、古(ふる)いムクドリの巣箱(すばこ)のそばへやってきました。
すると、
「近寄(ちかよ)るんじゃない。あれはスズメバチの城(しろ)だよ。今(いま)、きみたちミツバチの国(くに)をおそう相談(そうだん)をしているんだよ」
ムカデが、出てきていいました。
「うわあ、大変(たいへん)!」
マーヤはミツバチの国(くに)に向(む)かって、飛(と)びたちました。
「女王さま、女王さま、スズメバチが攻(せ)めてきます」
マーヤはミツバチの国(くに)へもどると、いいました。
さあ、グズグズしてはいられません。
「みんなで、自分(じぶん)の場所(ばしょ)を守(まも)るのです」
女王さまの命令(めいれい)で、兵隊(へいたい)バチが飛(と)んでいきました。
「入り口の壁(かべ)を、しっかりふさぎなさい。あつく、しっかりとです」
戦(たたか)いが、はじまりました。
恐(おそ)ろしいスズメバチは、つぎつぎとおそってきました。
けれど、マーヤの知(し)らせのおかげで、戦(たたか)いのじゅんびが出来(でき)ていたので、たくさんの仲間(なかま)がやられずに助(たす)かりました。
「よくやりました。マーヤ、ありがとう」
戦(たたか)いがすむと、女王さまはいいました。
「でも、マーヤ。もう遊(あそ)んでばかりいてはいけません」
そうです。
たくさんのことを知(し)ったマーヤは、みんなといっしょに、ミツバチの国(くに)のために仕事(しごと)をしなくてはいけません。
マーヤはもう、りっぱな一人前(いちにんまえ)のミツバチになっていましたからね。
おしまい
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