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1月23日の世界の昔話

キツネとネコ

キツネとネコ
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 むかしむかし、ある森の中で、ネコはキツネとバッタリ出会いました。
 ネコはニコニコしながらキツネに話しかけます。
「こんにちは、キツネさん。狩(か)りのほうはうまくいっていますか? このごろ獲物(えもの)が少なくなって、狩りがやりにくくなりましたね。でもキツネさんは頭がいいから、きっとどんなときでもうまくやっていらっしゃるんでしょうね」
 するとキツネは、ネコをジロジロとながめてから、めんどくさそうに返事をしました。
「ぼくがうまくやっているかだって? まあ、きみに比べたら少しはね。で、きみはどんなやりかたを知っているの?」
「わたしは、イヌから逃げる方法をたった1つしか知らないんです」
「どんな?」
 ネコは、はずかしそうに答えました。
「もしイヌが追いかけてきたら、すぐ木に登る。それだけです」
「へーえっ、それだけ」
 キツネは、大げさにおどろきました。
「ぼくは逃げ方だけでも、百以上のやり方を知ってるぜ。それから、相手をワナに引っかける技もね。みんなぼくの知恵袋(ちえぶくろ)の中に入っているんだ。あわれなネコくん、1つ教えてあげようか?」
 キツネが得意(とくい)になって、夢中(むちゅう)でしゃべっているときです。
 いつの間にかイヌを4匹つれた狩人が、すぐそばまで来ていました。
 ネコは素早く木にのぼりました。
 これで安心、木の枝や葉っぱがネコをスッポリとおおいかくしてくれます。
「キツネさん、はやく知恵の袋を開けなきゃ!」
 ネコが言ったときにはもう遅く、キツネはイヌにつかまってしまいました。
「キツネさんどうして? 百以上のやり方を知っているのに。・・・あっ、そうか。どのやり方にするのかまよっているうちに、つかまってしまったんだ。わたしはたった1つしか逃げ方を知らなくて助かったよ」
 ネコはつぶやいて、「ホッ」とため息をつきました。

おしまい

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