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1ねんせいのせかいむかしばなし
まほうの ボウシ
デンマーク の むかしばなし → デンマーク の せつめい
むかしむかし、 まずしい ヒツジかいの わかものが、 おかのうえから ボンヤリと むらを ながめていました。
「おやっ? あれは なんだろう?」
したの おおきなのいえに、 つぎから つぎへと ひとが はいっていきます。
みんな、 とびきり おめかしを しています。
「わかった。 けっこんしきが あるんだな。 おいらも みにいきたいなあ」
しばらくすると いえから、
「チリリン、 チリリン、 チリリン」
と、 たのしそうな かねのおとが きこえてきました。
ごちそうが できたと いう あいずです。
とたんに、 じめんのそこから こえが わきあがりました。
「ボウシは どこだ? ボウシは どこだ?」
(ボウシ? いったい、 なんのことだ?)
ヒツジかいは、 ためしに どなってみました。
「おーい、 おいらの ボウシも あるかい?」
すると、 だれかが こたえました。
「あるよ。 おいらの とっつあんのを かぶりなよ」
こえと いっしょに、 おんぼろボウシが めのまえに とびだしました。
ヒツジかいが、 こわごわ かぶってみると、 めのまえに こびとが ウジャウジャと あらわれました。
♪ほうい ほうい ごちそうだ
こびとたちは うたいながら、 おおきないえに むかって かけだしました。
ヒツジかいも、 そのあとを おいかけました。
とちゅうで なんにんも しりあいに であったので、 ヒツジかいは ていねいに あいさつを しました。
「こんにちは、 きょうは いいてんきですね」
ところが こえを かけられたひとは、 めを まるくして キョロキョロと あたりを みまわすばかりです。
「へんだなあ。 おいらが みえないのかな?」
くびを ひねっているうちに、 ヒツジかいは ふと きがつきました。
「そうか。 こいつは まほうのボウシだ。 かぶると すがたが みえなくなるんだ。 いいぞ、 いいぞ。 これで けっこんしきに もぐりこめるぞ」
ヒツジかいは うれしくなって、 スキップしながら おおきないえに はいって いきました。
テーブルには、 ごちそうが いっぱいです。
ところが おきゃくさんが、 さあ たべようと てをのばすと、 おさらは からっぽです。
「おかしいな? さっきまで、 たしかに あったのに」
「ああっ、 フォークから ソーセージが きえたぞ!」
おきゃくは おおさわぎです。
じつは、 ごちそうは ぜんぶ、 こびとたちが よこどり しているのです。
ヒツジかいも、 たらふく つめこみました。
「そうだ。 おかあさんにも もっていってやろう」
ヒツジかいは、 ポケットに たべものや ワインのビンを つめこんで いえに かえりました。
ヒツジかいが もってかえった ごちそうに おかあさんも おおよろこびです。
「ああ、 おいしかった。 でも どうせなら、 あしたのぶんもあれば もっといいのに」
ヒツジかいは なるほどと おもい、 おおきないえと じぶんのいえを せっせと いききして、 たくさんの ごちそうを はこびました。
おひさまが しずむころ、 おおひろまで ダンスが はじまりました。
みんな、 たのしそうに おどっています。
「おいらも、 おどりたいなあ」
ヒツジかいが まえにでていると、 そこヘ はなよめと はなむこが やってきました。
クルクルと はなよめが まわるたびに、 スカートのすそが フワリと ひろがります。
そして すそが、 ヒツジかいのボウシに あたり、 ボウシが あたまから おちました。
そのとたん、ヒツジかいが すがたを あらわしたので、 まわりのひとは ビックリ。
「わっ。 おまえ、 どこからきたんだ!」
「たべものを ポケットに いれているぞ! さては、たべものドロボウは おまえだな! それ、 やっつけろ!」
みんなは ヒツジかいを とりまくと、 ポカポカと なぐりつけました。
「たすけてえー! ごめんなさーい!」
ヒツジかいは ポケットの たべものを ほうりだして、 いのちからがら にげだしました。
そのとき まほうのボウシを なくしてしまい、 ヒツジかいが どんなにさがしても、 にどと みつからなかったそうです。
クリスマスパーティーバージョン
おしまい
→ 結婚式バージョン
※ この「魔法のボウシ」の朗読は、以下の方々により、ご提供を受けた作品です。
出演:ちえみおねえさん
音楽・演出:thin-p @ A'sf
(一部、著作権フリー音源を使用)
企画・制作:A'sf
おはなしパタくんへのリンクURL
http://patakun.seesaa.net/article/174371061.html
A'sf へのリンク
http://asfradio.seesaa.net/
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