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2月26日の世界の昔話

ソバとゆうだち

ソバとゆうだち
アンデルセン童話 → 詳細

 むかしむかし、あるところに、ひろいひろい畑がありました。
 その畑では、大ムギや、小ムギや、カラスムギがたくさんつくってあります。
 ソバの畑もありました。
 ソバは、ツンとすまして、
「ぼくだって、ムギなんかにまけやしない。ぼくの花はリンゴの花のように白くてきれいだ。ねえ、そこのかわやなぎ(→ヤナギ科の落葉低木)さん。そうでしょう?」
「・・・・・・」
 畑のソバのかわやなぎは、そんなことはどうだっていい、というような顔をしていました。
「なんだ、あんなバカな木。年をとりすぎて、体の中に草がはえてるんじゃないか?」
と、ソバはプンプンおこりました。
 でも、ふるいかわやなぎの木のさけめに、草がはえているのはほんとうでした。
 そのとき、ひどいゆうだちがやってきました。
 いなびかりがして、ゴロゴロと大きなカミナリがなりました。
 そして、バケツをひっくり返したように、大つぶの雨がはげしくふってきました。
 畑のさくもつは、みんな頭を下げて、花びらをとじ、ゆうだちがすぎるのをまちました。
 それなのにソバだけはいばって、そりかえっています。
「ソバさん、頭をお下げなさいな」
 ほかのさくもつがいいました。
「だれに頭を下げるんだね? なんのために?」
「つよい雨に、たたきつけられます。はげしいイナヅマに目がくらみます。あのイナズマの中には、天の神さまがいらっしゃるんですよ」
「よし、ぼくは神さまを見てやろう」
 ソバはいっそう、そりかえりました。
 そのとき、まるで世界中が、火につつまれたかとおもうほど、はげしくイナズマが光ました。
「あっ!」
 だれでも、目をつぶらなければいられません。
 こうして、ゆうだちはとおりすぎていきました。
 雨はやみ、日の光がさしてきました。
 むこうの山からこちらの山へ、きれいなにじのはしがかかりました。
 さくもつも花も、さっきの雨ですっかり元気になりました。
 だれもが顔をあげて、きれいなにじを見ました。
「・・・きれい」
 ゆうだちのあとはせいせいして、なんともいえないいいきもちです。
 その中で、ソバだけがしおれきって、まるで元気がありません。
 頭を下げることを知らないソバは、ゆうだちにうたれて、クタクタになっていました。

おしまい

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