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家の精

家の精(せい)
フィンランドの昔話 → フィンランドのせつめい

 むかしむかし、とてもくいしん坊(ぼう)のお金持ちの主人がいました。
 主人は毎日おいしいものを食べたくて、腕(うで)のいい料理人を一人やとっています。
 料理人はいつも、お屋敷(やしき)の広い台所で楽しく、主人のために料理を作っていました。
 くいしん坊(ぼう)の主人は、朝食も昼食も夕食も、おいしいものばかりで大まんぞくです。
 ある日のこと、料理人が夕食のスープを作っていると、かまどの中から首に袋(ふくろ)をさげた、小さな家の精(せい)が出て来ました。
 家の精(せい)は、料理人を見上げて言いました。
「あの、この袋一杯(ふくろいっぱい)のスープがほしいんだけど」
 料理人は、小さな家の精(せい)の袋一杯(ふくろいっぱい)ならお玉ひとすくいだと思って、お玉でスープをすくい、袋(ふくろ)にいれようとしました。
 すると家の精(せい)は、小さいくせにスープのナベをヒョイと持ちあげて、ゴクゴクゴクとナベいっぱいのスープを全部飲みほしてしまったのです。
 そして家の精(せい)はかまどの中に飛び込(とびこ)んで、あっという間に消えてしまいました。
 料理人は、こまってしまいました。
 それは、またスープを作っていたら、ムニエルやゆでた野菜のサラダを作る時間がなくなってしまうからです。
 料理人は仕方がないので、主人に家の精(せい)のことを話して、スープぬきの夕食をならべました。
 ところが、くいしん坊(ぼう)の主人はカンカンです。
「今度その家の精(せい)が出てきたら、ぶんなぐってしまえ!」
 でも料理人は、次の日に家の精(せい)が出て来たときにも、やはりスープを飲みほさせてしまったのです。
 こんな小さな家の精(せい)をなぐるくらいなら、主人に自分がしかられた方がいいと思ったのです。
 それで次の日も、スープぬきの夕食をならべました。
 主人は、テーブルをたたいて怒(おこ)りました。
「今度私(わたし)のスープをぬすむ家の精(せい)が出て来たら、火の中に入れて焼いてしまえ! でないと、お前はクビだぞ!」
 次の日も、家の精(せい)は袋(ふくろ)をさげて、かまどの中からやって来ました。
「この袋一杯(ふくろいっぱい)のスープを分けてほしい」
「でもだんなさまにしかられるんだよ。ほんとうに、袋一杯分(ふくろいっぱいぶん)ならわけてあげられるんだけど」
 申しわけなさそうに料理人が言うと、家の精(せい)は、泣き出しそうな顔でいいました。
「実はうちの子供(こども)が病気なのです。子供(こども)にスープを持って行きたいのです」
「そうか。それは大変だなあ。それなら、いるだけ持って行っていいよ」
 料理人が答えると、家の精(せい)はスープのナベを持ちあげ、グイグイとスープを飲みほしてしまいました。
 くいしん坊(ぼう)の主人はその話を聞くと、やさしい料理人の首をつかんで、屋敷(やしき)の外へほうり出しました。
 お屋敷(やしき)には、すぐに新しい料理人がやとわれました。
 くいしん坊(ぼう)の主人は、
「家の精(せい)が現(あらわ)れても、絶対(ぜったい)に何もあげてはいかん。なぐってしまえ!」
と、きびしく言いました。
 新しい料理人のスープができあがったころ、かまどから家の精(せい)が袋(ふくろ)をさげて出て来ました。
「この袋一杯(ふくろいっぱい)、スープを分けておくれ」
 新しい料理人は、主人の言っていた家の精(せい)だとわかると、思いっきりポカポカとなぐりました。
 家の精(せい)は大ケガをして、泣きながら、やさしかった前の料理人を探(さが)しに行きました。
 そして、森でションボリとすわっている料理人を見つけると、
「やさしいあんたに、おわびとお礼をしたいんだ。今夜、屋敷(やしき)のあかりが消えたら、屋敷(やしき)の庭(にわ)に来ておくれ」
 そう言うと、家の精(せい)はスーッと消えてしまいました。
 夜、料理人は家の精(せい)に屋敷(やしき)にいれてもらってビックリ。
 台所のかまどの中には、下へおりる階段(かいだん)があるのです。
 その階段(かいだん)をおりたところには、宝石(ほうせき)をちりばめた柱があり、その床(ゆか)は大理石(だいりせき)で出来ていました。
 家の精(せい)は小さな箱を持ってきて、料理人に渡(わた)しました。
「この箱は願いのかなう箱だよ。ふたを開けてあんたの願いをいってごらん。きっとかなえてくれるから」
 やさしい料理人はふたを開けて、おいしい料理の作れる大ナベと、どんなにかたい物でも切れる包丁(ほうちょう)を出してくださいとたのんでみました。
 そのとたん、目の前にりっぱな大ナベと、キラリと光る包丁が現(あらわ)れたのです。
「ありがとう。これからも、ますますおいしい料理を作って人に喜んでもらえそうだ」
「よかったね。それからその箱は見事な台所も出せるよ。もちろん、宝石(ほうせき)もお屋敷(やしき)も、あんたの願いならなんでもかなうさ」
 やさしい料理人は、家の精(せい)に何度もお礼を言って、魔法(まほう)の小箱を持って屋敷(やしき)を出て行きました。
 そのようすを、こっそり新しい料理人が見ていました。
 朝になると、新しい料理人は家の精(せい)をつかまえていいました。
「今すぐ魔法(まほう)の小箱を出せ! 出さないと、首をちょん切るぞ!」
 家の精(せい)は小箱を出して、新しい料理人に渡(わた)しました。
 新しい料理人は主人の部屋へかけて行き、とくい顔で言いました。
「だんなさま、世界一おいしく、美しいお料理をごちそういたしましょう」
 それを聞いたくいしん坊(ぼう)の主人は、ゴクリとつばをのみ込(こ)みました。
「よし、それが本当なら、給料を二倍にしてやろう」
 新しい料理人は、さっそく小箱のふたを開けて、大声で言いました。
「世界一おいしく美しい料理よ、出ろ」
 ところが小箱から飛び出してきたのは、棒(ぼう)を持った百人の家の精(せい)たちです。
 百人の家の精(せい)たちは、新しい料理人と、くいしん坊(ぼう)の主人をポカポカとなぐり、こぶだらけにしてしまいました。

おしまい

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