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4年生の世界昔話
シンドバッドのぼうけん
千夜一夜物語 → 千夜一夜物語(せんやいちやものがたり→アラビアンナイトのせつめい)
むかしむかし、船乗りのシンドバッドという若者(わかもの)が、船に乗って商売をしながら、島から島へと渡り歩(わたりある)いていました。
あるときシンドバッドは、ある美しい島へたどり着きました。
だれも住んでいない静(しず)かな所なので、仲間(なかま)といっしょに、けしきをながめながら歩き回ってみました。
しばらくいくと、きれいな泉(いずみ)があり、シンドバッドたちは泉(いずみ)のそばでひと休みしました。
疲(つか)れていたのか、シンドバッドはそのままぐっすりと眠(ねむ)ってしまいました。
ふと目がさめてみると、仲間(なかま)たちはだれもおらず、船はシンドバッドを置き去(おきざ)りにして出てしまったあとでした。
「しまった!」
ビックリして高い木によじ登り、海を見渡(みわた)しましたが、船はもういません。
「ちくしょう。いったいどうすればいいのだ! ・・・おや? なんだろう?」
陸(りく)のずっと向こうに、なにかしら白い大きな物が見えました。
シンドバッドがいってみると、それはすばらしくりっぱな丸い建物(たてもの)で、とてもスベスベしています。
「入り口はどこだろう?」
建物(たてもの)の周(まわ)りをグルリとまわってみましたが、どこにも入り口がありません。
そのとき、突然(とつぜん)あたりが暗くなったので、シンドバッドが空を見上げると、とても大きな鳥が飛(と)んでいました。
その鳥はルフという名で、ヒナ鳥にゾウを食ベさせて育てるという、ものすごい鳥だったのです。
白い丸い建物(たてもの)みたいな物は、このルフの卵(たまご)だったのです。
まいおりたルフは、卵(たまご)をあたためはじめました。
シンドバッドは頭に巻(ま)いていたターバンをとると、それで自分のからだを、ガッチリとルフの足にしばりつけました。
こうしておけば、人間の住んでいる国へ、運んでいってくれると考えたのです。
夜があけると、ルフはカミナリのような鳴き声をたてて、大空高くまい上がりました。
そしてしばらく飛(と)び回(まわ)ったのち、ようやく地面におりました。
シンドバッドは、手早くターバンをほどいて地面におりたちました。
ルフは、丸太のような物をつめにひっかけると、どこかへ飛(と)んでいってしまいましたが、よく見ると、大きな大きなヘビでした。
そして、シンドバッドがおろされた所は、高い山と山との谷あいでした。
「さて、ここからぬけ出すには、どうしたらいいかな?」
シンドバッドが考えながら歩いていくと、地面一面にダイヤモンドがころがって、キラキラと光りかがやいている所に出ました。
「わあ、すごいすごい!」
と、シンドバッドはよろこびましたが、前にいるものを見てビックリ。
なんと目の前には、ゾウでも丸のみにしそうな大蛇(だいじゃ)が、何匹(なんびき)も何匹(なんびき)も、とぐろを巻(ま)いていたのです。
「このままじゃあ、大蛇(だいじゃ)に食べられてしまう。どこかへかくれなきゃ」
シンドバッドはその夜、小さなほら穴(あな)にはいって、寝(ね)ました。
夜があけると、すぐにこの恐(おそ)ろしい谷間から逃げ出(にげだ)そうと、あちこち調ベて回りました。
すると突然(とつぜん)、ズシーン! と、大きなヒツジの肉が落ちてきたのです。
シンドバッドは、腰(こし)がぬけるほどビックリしましたが、この肉は、ダイヤモンドをとる商人が投げたエサだということがすぐわかりました。
まず、この肉のかたまりに、ダイヤモンドがくっつきます。
そこへ、ワシやハゲタカがエサにしようと、ダイヤモンドのくっついたヒツジの肉をつめにひっかけて、山のてっペんまで飛(と)んでいきます。
そこへ、待ちかまえていた商人たちが、大声あげておどかすと、鳥はビックリして肉をすてて逃(に)げます。
そのあと、肉にくっついてきたダイヤモンドをとるというわけです。
ズシーン!
また、大きな肉のかたまりが落ちてきました。
シンドバッドは近くにころがっているダイヤモンドの中から、大きいのをポケットにつめこめるだけつめこむと、肉のかたまりをターバンで、自分のからだとしっかりとゆわえつけました。
まもなく、大きなハゲタカがまいおりてきて、肉のかたまりといっしょにシンドバッドをつめにひっかけて、山のてっペんにあがりました。
そのとき、さわぎたてる人間の声がわき起こり、ビックリしたハゲタカは、肉をすてて逃(に)げていきました。
肉のそばへ走り寄(よ)った商人たちは、肉の下からはい出してきたシンドバッドを見て目を丸くしました。
シンドバッドは、商人たちに今までの話をしてから、ポケットのダイヤモンドをわけてやりました。
商人たちは喜(よろこ)んで、シンドバッドのために船を用意してやり、シンドバッドはその船に乗って、無事(ぶじ)に自分の家に帰ることができたのでした。
おしまい
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