4年生の世界昔話
イラスト myi
星の金貨(きんか)
グリム童話 → グリム童話のせつめい
むかしむかし、あるところに、小さな女の子がいました。
お父さんもお母さんも死んでしまって、女の子の持っている物は、着ている服と、しんせつな人がくれた、一切れのパンだけです。
でも、この子はとてもやさしい子でした。
たよる人のいない女の子は、神さまだけをたよりに、野原へ出ていきました。
すると、まずしい男の人がやってきて言いました。
「おねがいだ。わたしに何か食べるものをおくれ、もう、腹(はら)ぺこなんだ」
食べるものといっても、女の子には一切れのパンしかありません。
このパンをあげてしまったら、女の子の食べるものがなくなってしまいます。
でも、女の子は持っていたパンを、全部あげて言いました。
「神さまのお恵(めぐ)みが、ありますように」
そして先へ歩いていくと、1人の子どもがやってきて、泣(な)きながら言いました。
「さむい、あたまがさむいよう。ねえ、何かかぶる物をちょうだい」
そこで女の子は、自分のボウシをあげて言いました。
「神さまのお恵(めぐ)みが、ありますように」
またしばらく行くと、今度は上着がなくてこごえている子どもに会いました。
女の子は、自分の上着をぬぐと、その子どもにあげて言いました。
「神さまのお恵(めぐ)みが、ありますように」
また先へ歩いていくと、べつの子がスカートをほしがるので、
スカートをあげて言いました。
「神さまのお恵(めぐ)みが、ありますように」
とうとう、女の子は森にやってきました。
あたりはもう、すっかりと暗くなっています。
そこへまた、1人の子どもがやってきて、下着をほしがりました。
下着をあげると、女の子は、はだかになってしまいます。
女の子は、すこしまよいましたが、
(暗い夜だから、だれにも見えやしないわ)
女の子はこう考えて、下着をぬぐと、とうとうこれもあげて言いました。
「神さまのお恵(めぐ)みが、ありますように」
こうして、女の子が何一つ身につけずに立っていると、とつぜん空から星が落ちてきました。
そしてその星は、ピカピカ光る金貨(きんか)になったのです。
気がつくと、裸(はだか)だったはずの女の子は、いつのまにかりっぱな服を着ていました。
「ああ、神さまありがとう」
女の子は金貨(きんか)をひろいあつめると、そのお金で一生しあわせに暮(く)らしたということです。
おしまい
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