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7月3日の世界の昔話
ハツカネズミと小鳥とソーセージ
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むかしむかし、あるところで、ハツカネズミと小鳥とソーセージが、なかよく暮らしていました。
「さあ、今日もごはんをつくろうか」
小鳥の仕事は、森の中へまきを取ってくることです。
ハツカネズミは、ナベに水をくんで火をおこします。
そしてソーセージは、料理をにたきし、その中を泳いで、味をつけるのが仕事でした。
あるとき、小鳥がなかまの鳥に、自分たちの生活が、いかにすばらしいかをじまんしていました。
ところが、相手の鳥は、
「お前は、そんな仕事をしているな。ふたりは外へ出ることもないのに、おまえさんは重い荷物を運ばなければいけないじゃないか。おれらな、仕事をかわってもらうけどな」
こういわれ、小鳥もすっかりその気になってしまいました。
そして、ごはんをつくろうとするときにいいました。
「今までわたしは、あなたたちの下働きのようなことをしてきたわけだ。これからは、役割(やくわり)を変えてみようじゃないか」
ハツカネズミとソーセージは反対(はんたい)しましたが、小鳥は役割を変えると言いはります。
「しかたない、そこまで言うのなら、一度仕事を変えてみよう」
そして、くじ引きで役目を変えてみることにしました。
くじ引きの結果(けっか)、
ソーセージがまきを取る仕事。
ハツカネズミが料理をする仕事。
小鳥がナベに水をくむ仕事です。
ところが、事件が起きました。
まきを取るために森に行ったソーセージが、帰ってこないのです。
心配した小鳥が森へ飛んでいくと、イヌがソーセージを食い殺していました。
小鳥はしょげかえって、まきを抱えて家に帰りました。
ハツカネズミもそれを聞いて、悲しみました。
こうして小鳥が料理の準備をすると、ハツカネズミが料理をはじめた。
ソーセージと同じように、料理の中を泳いで、味つけをしようとしたのです。
ところがその途中で料理に引っかかったために、ハツカネズミは死んでしまいました。
小鳥は食べ物をテーブルに並べようとしたとき、ハツカネズミが見あたらないのに気づきました。
そこで、名前をよんで飛び回っていると、羽の風がまきの火を飛び火させて、あたりが火事になってしまいました。
あわてた小鳥は、水をくみに行こうとしましたが、足が滑って、水の中に落ちてしまい、おぼれ死んでしまいました。
こうして、誰もいなくなってしまったのです。
おしまい