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2年生の世界昔話(せかいむかしばなし)
大きなスイカ
ロシアの昔話(むかしばなし) → ロシアのせつめい
むかしむかし、あるところに、とてもまずしい、お人よしの男がいました。
小さな畑(はたけ)をたがやして、その日その日を、くらしていました。
春(はる)になったある日、男が畑(はたけ)をたがやしていると、コウノトリが飛(と)んできました。
「ああ、コウノトリがくる季節(きせつ)になったのか」
空を見あげていると、どうしたことか、コウノトリが下に落(お)ちてきたのです。
男がかけよってみると、片方(かたほう)の羽(はね)がおれているではありませんか。
「かわいそうに、助(たす)けてやらなくては」
と、家(いえ)につれて帰(かえ)りました。
おれた羽(はね)をてあてして、男は自分(じぶん)の子どものようにせわをしてやりました。
何日(なんにち)かたって、やっと元気(げんき)になったので、男はコウノトリを空へ飛(と)ばしてやりました。
「げんきでな!」
男は手をふって、コウノトリが見えなくなるまで、見おくっていました。
あくる年の春(はる)。
男が畑(はたけ)をたがやしていると、コウノトリが飛(と)んできました。
「もしかして、あのコウノトリでは?」
と、男が空を見あげていると、コウノトリがなにか落(お)としました。
ひろってみると、スイカのタネです。
スイカのタネは、三つぶありました。
「このタネを、まけというのだな」
男はスイカのタネを、畑(はたけ)にまきました。
タネは芽(め)を出し、つるがのび、大きな花をさかせました。
男がいっしょうけんめい、せわをしたおかげで、スイカは大きくなりました。
男は三つ取(と)って、家(いえ)に持(も)って帰(かえ)りましたが、一人ではとても食(たべ)きれません。
「そうだ、友(とも)だちをよんでこよう」
男は、おおぜいの友(とも)だちをよんできました。
「りっぱな、スイカだな」
男はスイカを切(き)ろうとしましたが、かたくて切(き)れません。
二つめのスイカも、切(き)れません。
三つめのスイカも、切(き)れません。
「切(き)らずに、ほうちょうでたたいたらどうだい」
「ああ、そうしてみよう」
男は、思(おも)いっきり強(つよ)くたたきました。
すると、スイカはポコンとわれました。
「あれっ!」
「まあ!」
「これは!」
なんとスイカには、金貨(きんか)がいっぱいつまっていたのです。
ほかの二つにも、金貨(きんか)がつまっていました。
「さあ、みんなでわけよう」
みんなまずしかったので、大よろこびで金貨(きんか)をもらいました。
さて、近(ちか)くに、お金持(かねも)ちの男がすんでいました。
よくばりな男で、このことを聞(き)くと畑(はたけ)へいって、コウノトリをさがしました。
コウノトリが、いました。
エサを食(た)べています。
「しめた!」
お金持(かねも)ちは、そっと近(ちか)よると、棒(ぼう)でコウノトリの足をなぐりつけました。
コウノトリがたおれると、連(つ)れて帰(かえ)って傷(きず)の手当(てあ)てをして、毎日(まいにち)せわをしました。
やがてよくなったので、空へ飛(と)ばしてやりました。
あくる年の春(はる)になって、お金持(かねも)ちは畑(はたけ)にいきました。
「きょうはこないか、きょうはこないか」
と、お金持(かねも)ちは毎日(まいにち)、畑(はたけ)にいきました。
待(ま)ちくたびれて、イライラしているところへ、やっとコウノトリが飛(と)んできました。
コウノトリがタネを三つ落(お)としたので、お金持(かねも)ちはすぐに畑(はたけ)にまきました。
まもなく芽(め)が出て、つるがのび、花がさいて、大きなスイカになりました。
お金持(かねも)ちは、やっぱりお金持(かねも)ちの友(とも)だちを、おおぜいよびました。
そしてスイカを、ほうちょうでたたくと、ポカッと二つにわれましたが、中につまっていたのは金貨(きんか)でなくて、なんとも大きなハチだったのです。
「ブーン」
たくさんの大きなハチたちは、いっせいに飛び立(とびた)つと、お金持(かねも)ちやお金持(かねも)ちの友(とも)だちに、おそいかかりました。
※ よくにたお話しが、日本にもあります。 → 腰折(こしお)れスズメ
おしまい
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