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3月6日の日本の昔話
運の良い鉄砲打ち
好運个銃手
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、とても腕の良い鉄砲打ちがいました。
頭擺頭擺,有一個手路非常好个銃手。
ある時、鉄砲打ちが山へ出かける仕度をして家を出ようとすると、うっかり手が滑ってしまい、大切な鉄砲を石の上に落としてしまいました。
有一擺,銃手上山去打獵,出門个時節一下失神,重要个銃仔對佢个手溜走,跌到石牯頂。
「ああ!鉄砲の先が曲がってしまった。・・・でもまあ、鉄砲の先が曲がっても、何か取れるだろう」
「啊!銃仔瞄準器撞彎忒咧。...瞄準器彎忒乜做得用敢?」
と、そのまま曲がった鉄砲を持って、猟に出かけました。
就拿等該支銃仔,出去打獵。
鉄砲打ちが出かけた山には大きな池があり、その池にはカモがいて、あちこちで羽を休めています。
銃手去到个山頂有一个大陂塘,陂塘肚有盡多野鴨仔,四四散散在該歇睏。
「ひい、ふう、みい・・・」
「一二三...」
数えていくと、全部で十六羽います。
算算全部有十六隻。
「まあ、これだけいれば、曲がった鉄砲でも一羽ぐらいは取れるだろう」
「好,有恁多隻,雖然瞄準器彎忒儘採乜打得著一隻。」
そう思って、鉄砲打ちは一発撃ちました。
佢恁樣想,就開銃打。
ズドーン!
碰!
すると、その鉄砲の玉はジグザグに飛んで行って、何と全部のカモに当たったあげく、岩に跳ね返ってやぶへ飛び込んで行きました。
銃子會左片正片彎過來彎過去,全部个野鴨都打著,打著岩石彈倒轉來跌著草蓬肚。
「こりゃあ、大漁だ! 曲がった鉄砲のおかげで、大もうけが出来たわい」
「這擺好空了,打幫這支彎忒个銃仔正捉恁多。」
鉄砲打ちはジャブジャブと池に入ると、十六羽のカモを残らず捕まえて岸に上がりました。
銃手碰聲跳落陂塘肚去捉野鴨,十六隻抓秋秋,一隻就無伸捉上來。
すると、ふんどしの辺りが、いやにムズムズします。
纏腰布个脣頭,感覺有得人惱个東西在該蠕蠕鑽。
「何だ?」
「係麼个東西?」
ふんどしを見ると、大きなウナギとナマズが三匹ずつ中で暴れていました。
看看纏腰布,有大鰻摎塘虱各三尾鑽來鑽去。
ついでに、わらぐつの中もムズムズするので脱いでみると、中からカニやドジョウが出て来ました。
續等,草鞋肚乜會痎,脫下來看,趖出毛蟹摎鰗鰍仔。
「何とも、こんな事もあるもんだな。さあ、もう帰るか」
「仰有這種事情哪,好來去轉吂?」
鉄砲打ちが引き上げようとすると、やぶの中で何かが暴れています。
銃手想愛拉起來時節,草垺肚麼个在該奮奮跳?
「何だ?」
「係麼个東西?」
見てみると、岩に跳ね返った鉄砲の玉が命中したクマが、苦し紛れに土を引っかいていました。
查看正知該岩石彈轉來个銃子打著一條熊,無結無煞在地泥滾滾輾。
クマが引っかいて出来た穴には、おいしそうな山イモがのぞいています。
摎熊拉出來个窟肚,看著有盡好食个山竽仔。
「ほう。ついでに、これも取っていこう」
「hou,這順續拿轉去好啦。」
こうして鉄砲打ちは、山イモと、クマと、カニとドジョウと、ナマズとウナギと、十六羽のカモを背負って山を下りて行きました。
銃手背等山竽仔,熊,毛蟹,鰗鰍仔,塘虱,鰻仔,十六个野鴨下山。
おしまい
煞咧
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