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3月12日の日本の昔話
キノコ問答
蘑菇(ki no koキノコ)問答
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。
頭擺頭擺,有一個人安到吉四六个人,非常樂線。
吉四六さんの村では、秋になると椎茸(しいたけ)がたくさん採れました。
吉四六先生戴个村莊,逐年秋天採收盡多香菇。
椎茸は人気があるキノコなので、村人はこの椎茸を売ってお正月の準備をするのでした。
香菇係當受歡迎个蘑菇(ki no koキノコ),村民採收著个香菇拿去賣準備過年。
ところが今年の秋は椎茸が不作な上に、殿さまから、
毋過今年秋天香菇收成毋好,另外城主下令
《一軒から千本ずつ、キノコを献上せよ》
と、いうおたっしがありましたので、村人は大変困って吉四六さんに相談しました。
《一户愛繳千蕊蘑菇(ki no koキノコ)。》村民毋知仰結煞,就去尋吉四六先生參詳。
すると、吉四六さんは、
吉四六先生講:
「なあに。何も心配する事はない。山で、この春に芽生えた木の苗を採ってくればいいんだよ。それが木の子(キノコ)じゃ」
と、言いました。
「麼个!?有麽个好愁!山頂在春天必芽个樹秧挷兜來斯好。該也係ki no ko(キノコ)」
確かに木の苗も木の子どもなので、『キノコ』に違いありません。
確實樹苗乜係ki no ko(キノコ),『ki no ko(キノコ)』無毋著。
「なるほど、吉四六さんの言う通りだ」
「有影哦!照吉四六先生講个。」
そこで村人たちは千本ずつ木の苗を採ってきて、それを吉四六さんがたわらに詰めて、お城へ持って行きました。
村民採千欉樹仔秧交分吉四六先生,用稈袋張等送到城肚去。
さて、吉四六さんが持って来たたわらを開けた役人は、中身を見て怒り出しました。
官廳个官員打開稈袋看著袋肚个東西就發閼講:
「吉四六!何だこれは?!」
「吉四六!這係麼个東西?!」
「はい。おたっし通りの、木の子でございます」
「該!係照告示寫个ki no ko(キノコ)啊!」
「木の子?きのこ、キノコ、木の子・・・。バカ者!キノコと言えば、椎茸の事に決まっているだろう」
「樹仔秧?ki no ko(キノコ)...大戇牯! ki no ko(キノコ)係講香菇!」
「あっ、なるほど、キノコとは、椎茸の事でしたか。その椎茸なら、残念ながら村人たちが、もうみんな売ってしまった後です」
「啊,係哦,ki no ko(キノコ)係講香菇係無?假使係香菇,盡失禮該兜村民賣淨淨咧。」
それを聞いた役人は、ちゃんと説明しなかったこちらも悪かったと思ったのか、
聽佢恁樣講个官廳官員,認為完全無說明自家乜毋著。
「まあ、では仕方がない。ただし、来年は間違わぬようにいたせよ」
と、許してくれました。
「算咧,無法度,毋過明年做毋得再過揻毋著哦!」,斯原諒佢兜。
すると吉四六さんは、恐る恐る聞き返しました。
吉四六先生聽著驚到會死,再過問講:
「お役人さま。もう一度確認しますが、キノコと言えば、椎茸の事。椎茸と言えば、キノコの事。でございますな」
「官員大人,再過確定一擺,ki no ko(キノコ)係講香菇,香菇係講ki no ko(キノコ)。係無?」
「その通りじゃ」
「無毋著!」
「わかりました。では、来年は間違えません」
「知了!明年毋會搣毋著!」
吉四六さんはそう言って、村へ帰って行きました。
吉四六先生講了以後就轉去咧。
さて、次の年の秋になりました。
第二年秋天到了。
お城の役人は去年の事があったので、今度は間違えない様に、
城肚官廳个官員,記得舊年發生過个事情,所以今年定著做毋得再過揻毋著。
《一軒から千本ずつ、椎茸を献上せよ》
と、おふれを出しました。
《一家奉献一千蕊香菇》又貼出告示。
ところが今年も椎茸が不作だったので、吉四六さんはまた山から木の苗を集めさせて、それをお城へ持って行きました。
毋過今年香菇收成毋好,吉四六先生還係喊村民去山頂收集樹秧,拿到城肚去繳。
それを見た役人は、まっ赤になって怒りました。
官員看著閼到面紅漬炸。
「こら、吉四六!今年もやはり、キノコではないじゃないか!」
「噯!吉四六!仰會今年又搣毋著!這敢係香菇!」
すると吉四六さんは、何で怒っているのかが分からないと言う様に聞き返しました。
吉四六先生詐毋知官員仰會發閼,問講:
「あの、去年、キノコと言えば、椎茸の事。椎茸と言えば、キノコの事かとお伺いしましたら、『さよう』と、おっしゃいましたねえ」
「舊年ki no ko(キノコ)係講香菇。問你香菇係講ki no ko(キノコ)無?你應講『係哦』。」
「いかにも、その通りだ」
「確實係恁仰講。」
「だから今年は、椎茸を献上せよとのおたっしなので、キノコを持って来たのですが。何か間違っていましたか?」
「所以照今年愛獻香菇个告示,正會拿ki no ko(キノコ)來。有麼个毋著?」
「・・・あっ、なるほど」
「...啊,有影」
確かに、吉四六さんの言う事は間違ってはいません。
確實,吉四六先生講个無毋著。
「しかし、それはだな。・・・よし、少し待っておれ」
「毋過,該。...好,你等一下。」
困った役人は、この事を殿さまに伝えました。
毋知仰結無煞个官員,摎這事情摎城主報告。
すると、それを聞いた殿さまは、
聽著个城主就講:
「それは、面白い男だな。よし、会ってみるから連れて参れ」
と、言って、吉四六さんを庭先に呼んだのです。
「還生趣男仔人哦,渡過來𠊎試看那仔。」
吉四六先生喊來天墀坪頭前。
そこで吉四六さんは村人が椎茸を売って正月の準備をする事と、椎茸が不作で困っている事を殿さまに説明したのです。
吉四六先生就將村民賣香菇準備過年个事情還有香菇收成毋好个事情摎城主說明。
「うむ。そう言う事か。よし分かった。今後、お主の村は椎茸の献上は無しにしよう」
「m11,恁樣嘎?好啦了解咧。從今以後你該村个人毋使獻香菇。」
こうして吉四六さんの村はその年から、椎茸を献上しなくともいい事になったそうです。
斯恁樣吉四六先生該村,自該年開始就無獻香菇了。
おしまい
煞咧
說明︰這係用日本話,共音無共意思來詏嘴發展出來个故事。
日本話キノコ(ki no ko)係講蘑菇、香菇,樹秧(木の子)乜講ki no ko。
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