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5月10日の日本の昔話
あまのじゃく比べ
扭揪比賽
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
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投稿者 「てるみー&えいみー」 みんなで元気に!
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むかしむかし、彦一(ひこいち)と言う、とてもかしこい子どもがいました。
頭擺頭擺,有一個安到彥一个細人仔,非常伶俐。
彦一の村には、金作(きんさく)という、とてもつむじ曲がりのおじいさんが住んでいます。
彥一个村莊有一個扭揪个金作老阿伯。
この金昨は、人が山と言えば川と言うし、右と言えば左と言うような人です。
這個金作係人講東佢就講西个人。
そんな金作にすっかり困り果てた村人たちが、彦一のところにやって来ました。
對這恁樣个金作,非常無結煞个村民,來到彥一該位。
「のう、彦一。お前さんのちえで、金作じいさんのつむじ曲がりを治してくれないか」
「噯,彥一。用你个智慧敢無法度治好金作老阿伯扭揪病?」
「わかった。おらにまかせておくれ」
「了解了,交分𠊎。」
次の日、彦一は金作じいさんのところへやって来て言いました。
第二日,彥一來到金作老阿伯該位,講:
「金作じいさん。いい天気だね」
「金作老阿伯,天時已好呢。」
「おう彦一か。なにが、いい天気なもんか。こんなに日が照っていては道が乾いて、ほこりがたってしょうがないわい。どうせなら、雨でも降ればいいんだ」
「彥一係無?麼个,仰係好天時呢?日頭恁𤊶摎路曬到燥燥,滿天塵灰猛湧。仰般講,還係落水較好。」
「おやおや、さすがは有名なあまのじゃく」
「唉哦,這正式係扭揪出名。」
彦一は首をすくめると、金作じいさんに言いました。
彥一盡無奈何,摎金作老阿伯講:
「ねえ、じいさん。明日からおれと、あまのじゃく比べをしようじゃないか」
「ne53,老阿伯。韶早開始摎𠊎比賽看麼儕較扭揪做得無?」
「なに、あまのじゃく比べだと」
「麼个? 扭揪比賽係麼个?」
「そうだよ。お互いに何を言っても『うん』って返事をしないで、反対の事を言うのさ。じいさん、得意だろ?」
「係哊。𠊎俚兩儕不管講麼个,絕對做毋得應『m11』,愛應倒反。老阿伯,這係你最在行个事毋係嘎?」
「アハハハハハッ。とんち小僧が何を考えているのかは知らんが、わしは子どもの頃からのあまのじゃくじゃ。あまのじゃく比べで、わしにかなうわけがなかろう」
「啊哈哈哈哈哈,我毋知該個伶俐个細沙彌仰般想,毋過𠊎從細就係當扭揪。愛摎𠊎比扭揪,敢比得𠊎贏。」
「さあ、それはどうかな?とにかく、明日からあまのじゃく比べをしよう」
「好啦,該又仰般?無論仰般,俚韶早開始扭揪比賽。」
「ようし。受けて立とう。その代わりわしに負けたら、二度ととんち小僧なんて言わせんぞ」
「好,接受。若係你輸分𠊎,下二擺毋使再過喊你伶俐个細沙彌了。」
「いいとも」
「當然。」
さて、次の朝、金作じいさんは川へ魚釣りに行きました。
第二日朝晨,金作老阿伯去河壩釣魚仔。
そしてすぐに、カゴに一杯の魚が釣れました。
盡遽,一下仔就釣一籠魚仔。
「さあ、ずいぶん釣れたぞ。さて、帰るとしようか」
「啊,釣恁多囉,好了,好來去轉。」
金作じいさんが帰ろうとすると、そこへ彦一がやって来て尋ねました。
金作老阿伯按算愛轉个時節,彥一來到就問講:
「やあ、じいさん、魚釣りかい?」
「你好,老阿伯,釣魚仔係無?」
ここで『うん』と答えたら、あまのじゃく比べに負けてしまいます。
若係這下應『m11』,該扭揪比賽就輸忒了。
そこで金作じいさんは、
所以金作老阿伯應講:
「なあに。魚を捨てに来たのさ」
「麼个,係來㧒魚仔。」
と、答えて、魚の入ったカゴをポンと投げ捨てました。
摎張等魚仔个籠仔㧒忒。
すると彦一は、ニッコリ笑って、
過後,彥一笑咪咪講:
「もったいないな。捨てた魚なら、おらが拾っていこう」
「打爽哪。係你摎魚仔㧒忒,𠊎會去拈哦。」
と、魚のカゴをかついで、さっさと行ってしまいました。
講煞,擐等魚籠仔,煞煞行等走。
「彦一め!よくもやったな!」
「彥一!敢做這種事!」
金作じいさんは、地面を蹴って悔しがりました。
金作老阿伯用腳出力蹬地泥,當後悔。
次の日、金作じいさんは彦一が田んぼで稲刈りをしているのを見つけました。
第二日,金作老阿伯發現彥一在田肚割禾。
「しめたぞ。あの稲を取り上げてやろう」
「還好。來摎該兜禾仔奪著來。」
金作じいさんは、彦一のところへやって来て、
金作老阿伯來到彥一該位,
「おう、彦一。稲刈りか?」と、声をかけました。
大聲喊:「噯,彥一。割禾係無?」
彦一も、ここで『うん』と言ったら負けになるので、
彥一因為若係在這講『m11』,也會輸忒比賽,
「いいや、稲捨てだよ」と、答えました。
就應講:「毋係,係來㧒穀。」
それを聞いた金作じいさんは、うれしそうに笑うと、
聽著該个金作老阿伯,開容笑面講:
「捨てた稲なら、わしが拾っていこう」
「係你摎穀㧒忒,𠊎會去拈哦。」
と、彦一が刈った稲をみんなかついで、村の方へ持って行きました。
摎彥一割著个穀總下都㧡等轉村莊。
すると彦一は、平気な顔で金作じいさんのあとについて歩きます。
彥一斯詐無事樣跈等金作老阿伯行。
そして自分の家の前まで来ると、
來到自家屋下頭前後,問講:
「じいさん。おらの田んぼに稲を拾いに行ったのかい?」
と、尋ねました。
「老阿伯。你去𠊎田肚拈穀係無?」
金作じいさんは、
金作老阿伯
「いいや。稲刈りに行ったのさ」と、答えました。
應講:「毋係,𠊎去割禾。」
それを聞いた彦一は、にっこり笑うと、
彥一聽著後,笑咪咪講:
「アハハハハハッ。借りた物なら、返しておくれよ」
「啊哈哈哈哈哈,若係借來个東西,愛還哦。」
と、言って、金作じいさんが運んできた稲をみんな取り返してしまいました。
佢拿轉金作老阿伯㧡轉來个穀。
これでは、金作じいさんは彦一の稲を田んぼから家まで運んでやったようなものです。
就恁樣,金作老阿伯摎彥一个穀對田㧡轉村莊屋下共樣。
さすがの金作じいさんも、これにはすっかりまいってしまいました。
連金作老阿伯,也會完全輸忒。
「いやいや、お前は大したとんち小僧だ。この勝負は、わしの負けだ。もうこれからは、あまのじゃくは言わない事にするよ」
「毋係毋係,你係一個像細猴精樣恁伶俐个細沙彌。這場比賽係𠊎輸。這下開始,毋敢再過扭揪了。」
その日から金作じいさんは、とても素直なおじいさんになったということです。
從該日起,金作老阿伯變一個非常老實个人。
おしまい
煞咧
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