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5月29日の日本の昔話
小槌(こづち)の柄(え)
槌仔个柄
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、大分のある田舎に、仕事もしないで遊んでばかりいる男がいました。
頭擺頭擺,在大分縣个鄉下,有一個逐日毋做事,斯在該搞个男仔人。
ある日の事、男が木陰で寝ていると、働き者のアリがやって来て言いました。
有一日,男仔人在樹影下睡目時節,一隻煞猛个蟻仔行過來,講:
「お前、そうして寝ていても、食べる物は集まらんじゃろう。早く起きて働け」
「你,斯會睡目,食物也毋會自家送過來,好煞煞䟘床做事!」
すると男は、
男仔人就講:
「ばか言え、こんなに暑いのに、働くなんてごめんじゃ」
「講該戇話,天氣恁熱,敗勢無辦法做事。」
男がそう言うと、アリはしばらく考えてから、こう言いました。
男仔人講煞後,蟻仔想一下就應講:
「そんなら、ええことを教えてやろう。
「若係恁樣,𠊎摎你報隻好空个,
この山奥のお宮さんに、大黒さんがいる。
這深山肚个廟肚,有一尊財神爺,
その大黒さんは、振れば何でも欲しい物が出る打出(うちで)の小槌(こづち)という物を持っておるから、それを借りて来たらどうじゃ。
財神爺有一支若係搖動,你想愛麼个東西都會出現个萬寶槌,去摎佢借轉來仰般?
そうすれば、働かんで食えるぞ」
借著以後你就毋使做事都有飯好食了。」
「おおっ、振るだけで何でもか!そいつはありがたい」
「哦,斯愛搖佢就有你想愛个東西嘎!承蒙,承蒙。」
男は起き上がると、喜んで大黒さんのところへ行きました。
男仔人䟘床後,歡歡喜喜行去財神爺該位。
そして、
然後,佢就求,講:
「大黒さん、大黒さん、打出の小槌とやらをわしに貸してくれんか。それで食い物を出そうと思うんじゃ」
と、頼みました。
「財神爺,財神爺,萬寶槌仔借𠊎做得無?想愛用佢提供食物。」
すると大黒さんは、
財神爺講:
「貸してやってもええが、あいにく小槌の柄が折れとってのう。
その柄は、普通の物では役に立たん。
「借分你斯做得,恁堵好槌仔柄斷忒,該柄用普通个材料做毋得。
握るところがくぼんで黒光りするような、使い込んだクワの柄でなければならんのじゃ」
と、言うのです。
定著愛用使用慣个桑樹柄,揢个位所烏金烏金、凹下去。
男はそれを聞くと、その日から毎日毎日クワを握って、
該個男仔人聽著這後,從該日起逐日都會揢等桑樹,
「まだ、くぼまんか。まだ、くぼまんか」
「還吂凹下去呢?還吂凹下去呢?」
と、言いながら、畑仕事を始めたのです。
緊恁樣唸,開始去園做事。
こうして一年たち、二年たちと、何年もまじめに働いているうちに、食べ物がだんだんと家にたまってきたのです。
恁樣,經過一年、兩年、當多年煞猛打拚,屋下漸漸儲存當多食个東西。
ある日の事、大黒さんが山からおりて来て、
有一日,財神爺對山頂下來,講:
「くぼんで黒光りする柄は、まだ出来んのか? 出来たらすぐに、打ち出の小槌を貸してやるぞ」
と、言いました。
「烏金烏金、凹下去个柄吂好係無?若係好了萬寶槌仔黏時會借分你。」
すると男は、
男仔人應講:
「ああ、大黒さん。
柄はまだ出来んが、まじめに働いたおかげで家にはこんなに食べ物がたまった。
「啊,財神爺,柄吂好,毋過因為𠊎煞猛打拚,所以屋下儲存當多食物。
それに、働くのが楽しくなった。
另外,工作變得盡快樂。
からもう、小槌はいらんようになった」
と、言いました。
所以這下無需要萬寶槌了。」
するとそれを聞いた大黒さんは、にっこり笑って、
聽到該个財神爺,笑咪咪講:
「そうか。
それは、めでたい。
「係無?該盡恭喜,
どうやらお前の心に、立派な打ち出の小槌が出来たようだな。
看來你心肝肚有一支萬寶槌了。
これからもまじめにクワを振れば、欲しい物は何でも出てくるようになるぞ」
以後,若係你煞猛搖動桑樹柄,你想愛任何東西都會出來。」
と、言って、山に帰って行ったそうです。
講煞,聽講斯行轉山頂。
おしまい
煞咧
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