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7月10日の日本の昔話
タヌキと彦一
狸仔摎彥一
福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
むかしむかし、彦一(ひこいち)と言う、とてもかしこい子どもがいました。
頭擺頭擺,有一個安到彥一个細人仔,非常伶俐。
この彦一の家の裏山には一匹のタヌキが住んでいて、毎日旅人にいたずらをしては喜んでいました。
一條狸仔戴在彥一屋下个深山裡肚,逐日搣耍過路旅客來搞生趣。
ある晩の事、タヌキは旅人に化けると、彦一の家にやって来ました。
有一暗晡,狸仔變做一個旅客,來到彥一屋下。
「こんばんは、ちょいと、ひと休みさせてくださいな」
「暗安,拜託分𠊎歇睏一下。」
戸を開けた彦一は、この旅人は裏山のタヌキに違いないと思いましたが、知らぬ顔で家へ入れてやりました。
去開門个彥一認為這個旅客定著係山頂个狸仔,還係詐毋知分佢落屋。
しばらくするとタヌキは、彦一に尋ねました。
過無幾久,狸仔問彥一講:
「ところで彦一どんには、何か怖い物はあるか?」
「著,像彥一你恁伶俐个人,敢有驚麼个東西無?」
それを聞いた彦一は、このタヌキをからかってやろうと思いました。
聽佢恁樣講个彥一,想愛來撩弄一下狸仔。
「う~ん、怖い物か。
「m11,驚个東西係無?
そう言えば、一つだけあった。
照講斯一隻。
でも恥ずかしいから、誰にも言わないでくれよ。
盡見笑,毋好摎別人講哦。
実はな、まんじゅうが怖いんじゃ」
實際上,𠊎當驚包仔。」
「えっ?まんじゅう?あの、食べるまんじゅうか?!あはははははっ、まんじゅうが怖いだなんて」
「麼个?包仔?該,做得食个包仔?!啊哈哈哈哈哈,包仔會得人驚。」
「ああ、やめてくれ!おら、まんじゅうって聞いただけで、体が震えてくるんだ。怖い怖い」
「啊,恬恬,莫笑!𠊎斯愛聽著包仔,身體就會掣。得人驚、得人驚。」
ブルブルと震える彦一を見たタヌキは、
看著彥一激激顫个狸仔,
(これは、いい事を聞いたぞ)
(探著這恁好事。)
と、大喜びで、山へ帰って行きました。
當歡喜轉去山頂。
次の朝、彦一が目を覚ましてみると、何と家の中に出来たてのまんじゅうが、山ほど積まれていました。
第二日朝晨,彥一醒,就看著屋下仰會有堆山塞海恁多、堵堵做好个包仔。
「おっかあ、馬鹿なタヌキからまんじゅうが届いたぞ。さあ、一緒に食おう」
「阿姆,𤘅奓狸仔送過來个包仔,共下來食。」
彦一とお母さんは大喜びで、タヌキが持ってきたまんじゅうを食べました。
彥一摎厥姆當歡喜,享用狸仔送過來个包仔。
その様子を見ていたタヌキは、だまされたと知ってカンカンに怒りました。
看著該種情形个狸仔正知自家分佢騙著了,斯發閼。
「ちくしょう!タヌキが人間にだまされるなんて! この仕返しは、きっとするからな!」
「畜生!狸仔分人類騙著!定著愛報仇!」
そしてその日の夜、タヌキは村中の石ころを拾い集めて、彦一の畑に全部放り込んだのです。
該暗晡,狸仔摎村內个石牯拈到一大堆,擲落彥一个園肚。
(えっへへ。これで彦一のやつ、畑仕事が出来ずに困るだろう)
(e he he,這擺用這方法對付彥一該傢伙,因為園事無法度做了當無結煞。)
よく朝、畑仕事に来た彦一とお母さんは、畑が石ころだらけなのでびっくりです。
第二朝晨,出來做園事个彥一摎厥姆,因為園肚淰淰个石牯嗄著驚。
「ああ、家の畑が!」
「唉哦,屋下个園!」
お母さんはびっくりして声をあげましたが、しかしそれがタヌキの仕業だと見抜いた彦一は、わざと大きな声でお母さんに言いました。
阿姆著驚大聲噦,毋過,彥一看出這係狸仔搣个事情,挑挑大聲摎厥姆講:
「のう、おっかあ。石ごえ三年というて、石を畑にまくと三年は豊作(ほうさく)だと言うからな。
「噯,阿姆。《老古人言講,石牯乜有三年肥,聽講石牯委落園,三年好收成。》
誰がしたかは知らんが、ありがたい事だ。
麼人做个𠊎毋知,但係非常承蒙。
これが石ではなくウマのフンじゃったら、大変な事じゃったよ」
若係石牯係馬屎,該斯無結煞。」
それを隠れて聞いていたタヌキは、とてもくやしがりました。
囥起來偷聽著个狸仔盡毋甘願。
(ちくしょう!石ごえ三年なんて、知らなかった。・・・ようし、石ではなく、ウマのフンなら大変なんだな)
(畜生!𠊎毋知麼个石牯乜有三年肥...好。毋係石牯,若係換做馬屎應該會無結煞。)
そしてその晩、タヌキは彦一の畑の石を全部運び出すと、今度はウマのフンを彦一の畑にうめておいたのです。
該暗晡,狸仔摎彥一園肚个石牯全部撿來運走,這擺摎馬屎埋在彥一園肚。
さて、タヌキのまいたウマのフンは、とてもよいこやしになって、秋になると彦一の畑ではとても見事な作物がたくさん取れました。
狸仔埋落園肚个馬屎當肥,在秋天,彥一个園收成非常好。
「ちくしょう。おらでは、どうしても彦一にはかなわねえ。・・・くやしいよう」
「畜生!𠊎仰會總係比毋贏彥一,...還失望。」
作物の実った畑を見て、くやし泣きをするタヌキに、彦一が声をかけました。
看著園肚打著當結,失望在該叫个狸仔,彥一對佢講:
「おーい、タヌキどん。お前にも、家の畑でとれたサツマイモを分けてやるぞ。何しろお前のまいたこやしのおかげで、とてもよく育ったからな」
「噯,狸仔君。𠊎我屋下園肚改轉來个蕃薯分你一兜。好得你在園肚埋馬屎肥,生著當靚。」
「あっ、ありがとう」
「啊,承蒙你。」
それからはタヌキはいたずらをやめて、裏山でおとなしく暮らしたということです。
該擺以後,聽講狸仔毋識搣耍人,在深山肚老老實實過日仔。
おしまい
煞咧
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