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 9月3日の日本の昔話
 
  
 かしこい子ども
 
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 投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読
 
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 投稿者 癒しのココロちゃんねる 【睡眠用朗読】
 
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 投稿者 「あーる」  【眠れる朗読】
 
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 制作 : 妖精が導くおやすみ朗読チャンネル
 
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 投稿者 「天乃悠の朗読アート」   天乃悠の朗読アート
 
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 投稿者 「きべだよ。」
 
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 投稿者 「眠りのねこカフェ」
 
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 制作: ぐっすり眠れる癒しの朗読【壽老麻衣】フリーアナウンサーの読み聞かせ
  むかしむかし、太吉(たきち)と言う子どもが、おじいさんと二人で暮らしていました。この太吉はとてもかしこい子どもで、村のみんなから、
 「日本中を探しても、あんなにかしこい子はおらん」
 と、言われるほどです。
 そのうわさを聞いた殿さまが、
 「よし。その小僧をよびつけて、一度ためしてみよう」
 と、太吉を城によんで、一つのようかんを二つに切って食ベさせました。
 太吉がようかんを食べ終わると、殿さまがたずねます。
 「ようかんは、おいしかったかな?」
 「はい、とてもおいしいようかんでした」
 「そうか、ではどちらのようかんが、よりおいしかったかな?」
 どちらも同じようかんなので、どちらもおいしさは一緒です。
 太吉がどう答えるか殿さまがじっと見ていると、太吉は『ポン』と両手をうって、
 「お殿さま。どちらの手がなりましたかな?」
 と、言いました。
 これは、見事な切り返しです。
 殿さまは太吉のかしこさをみとめると、太吉にたくさんのほうびを持たせて返しました。
 
 さて、ある日の事。
 おじいさんが一人で畑に出てクワで土をおこしていると、馬に乗った侍(さむらい)がやってきました。
 侍は馬の上から、おじいさんに言いました。
 「これ、じじい。お前は畑をおこしておるようじゃが、けさからいくクワおこしたか言ってみろ」
 そんな事をいきなり聞かれても、わかるはずがありません。
 おじいさんがポカンとしていると、
 「また、明日まいる。それまでに、とくと考えておけっ!」
 と、言い残して、侍は行ってしまいました。
 ちょうどそこヘ、孫の太吉がやって来ました。
 「じいちゃん、どうした? うかぬ顔をしとるが」
 「うん。実はな・・・」
 おじいさんがさっきの出来事を説明すると、太吉は笑って言いました。
 「なーんだ。そんな事、困る事はないぞ。
 どうせ証拠(しょうこ)はないんだから、てきとうに、そうだな、
 『五万八百クワおこした』
 と、言えばいいんだ。
 そしてその侍に、
 『あなたのお馬の足は、ここにおいでになるまでいく足あがりましたか?』
 と、そう聞いてやるんじゃ」
 「なるほど」
 
 次の日、おじいさんが畑で待っていると、きのうの侍がやってきました。
 「これ、じじい。きのうのクワの数は、思い出したか?」
 「ヘえ、思い出しました。きのうは、五万八百クワおこしました。ところでお侍さま、あなたのお馬の足は、ここヘおいでになるまでにいく足あがりましたかな?」
 「なに?」
 聞かれた侍はしばらく考えていましたが、やがてニヤリと笑いました。
 「それは、お前の考えではあるまい」
 「はい、孫の太吉が、教えてくれましたので」
 おじいさんが正直に答えると、侍はふところから小さな紙包みを取り出しました。
 「評判通り、太吉はかしこい子じゃ。ほうびに、これを一ぷくとらせよう。殿さまからのいただき物じゃ」
 「これは?」
 「その薬を、お前の孫に飲ませてみよ。もっともっと、かしこい子になるぞ」
 侍はそう言うと、帰っていきました。
 おじいさんは喜んで家に帰ると、太吉に薬を渡して言いました。
 「太吉や、この薬を飲むと、もっともっとかしこい子になるそうな」
 しかし太吉は、
 「じいちゃん、そんな薬が、あるはずないだろう」
 と、言って、薬を庭ヘすてると、おじいさんに言いました。
 「じいちゃん、もしまた侍が来たら、こう言うんだよ」
 
 次の日、おじいさんが畑仕事をしていると、またあの侍がやってきました。
 「これ、じじい。きのうの薬を、太吉に飲ませたか?」
 侍が聞いてきたので、おじいさんは太吉に言われたとおりに言いました。
 「はい、いただきましてございます。
 あの薬を飲みますと、孫は今までよりもかしこうなりました。
 おかげさまで、こんなうれしいことはござりません」
 おじいさんがうれしそうにおじぎをすると、侍は不思議そうに首をかしげました。
 「はて、そんなはずは」
 侍はきのうと同じ薬を取り出すと、自分でコクンと飲みました。
 すると、間もなく。
 ドデン!
 侍は馬から落ちて、死んでしまいました。
 おしまい   
 
 
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