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4月16日の小話
竹の刀
酒に酔った貧乏侍が、あっちへふらふら、こっちにふらふらと歩いていました。
それを子どもたちが見つけて、
「やーい、酔っ払い。やーい、酔っ払い」
と、からかいました。
「なっ、なんだ?
酔っ払いが、どこにいるんだ?
うん、おれの事か?
おれは酔っているが、酔っぱらってはおらんぞ。
だいたい、おれの金で飲んで、おれが酔っぱらって、なにが悪いんだ」
怒った酔っ払いが変な文句を言いますが、子どもたちはからかうのを止めません。
「なんだい、酔っ払い」
「のろまの酔っ払い」
「うすのろの酔っ払い。やーい」
「ええい、子どもとはいえ、もうがまんならん。
子ども、真っ二つにするから、かくごしろ!」
酔っ払いが、わきざし(→『わきざし刀』の略で、左腰にさす様に作った短い刀)を抜こうとすると、
「わーい。切れるものなら、切ってみろ」
「そうだ、早く抜けやーい」
と、またからかいます。
そこで酔っ払いが刀を抜いたのですが、これが竹で出来た刀でしたから、たまりません。
子どもたちは、さらに調子にのってからかいました。
「あははは。貧乏侍め」
「どうせ本物は、質屋に売ったんだろう」
「それで切れるものなら、切ってみろ。やーい、やーい」
子どもたちの言うとおり、本物のわきざしは質屋にあります。
酔っ払いはくやしがって、こう言いました。
「よし、お前らかくごしろ! かたっぱしから、竹のとげを立ててやるからな」
♪ちゃんちゃん
(おしまい)
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