|
|
福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 4月の日本昔話 >カエルになったぼたもち
4月16日の日本の昔話
カエルになったぼたもち
にほんご(日语) ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
日本語&客家語
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読
【大人もぐっすり眠れる睡眠朗読】日本昔話集⑨ 優しいとんち話 元NHKフリーアナ 読み聞かせ
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
制作 : 妖精が導くおやすみ朗読チャンネル
※本作品は、読者からの投稿作品です。 投稿希望は、メールをお送りください。→連絡先
制作: フリーアナウンサーまい【元TBS番組キャスター】
むかしむかし、お百姓(ひゃくしょう)さんたちの食べ物は、とても貧しいものでした。
白いお米のご飯などは、めったに食べられず、いつもアワやヒエやイモを食べていました。
さて、ある村に、あまり仲のよくない嫁さんとおばあさんがいました。
二人は顔をあわせると、けんかばかりしています。
朝に起きた時も、
「嫁のくせに、何て起きるのが遅いんじゃろう」
「ふん。年寄りは用もないのに早起きして、困ったものじゃ」
そしてイモの入ったおかゆを食べる時も、
「おらの方が、イモがすくねえぞ」
「ちゃんと一緒の数を入れたさ。全く、おらより体が小さいくせにずうずうしい」
と、いつも悪口の言い合いです。
そんなある日、急がしかった田植えがようやく終わりました。
「なあ、毎日毎日、イモがゆばかりじゃったから、たまには、うめえもんが食いてえのう」
おばあさんがいうと、珍しく嫁さんも賛成しました。
「そうだな。田植えも終わった事だし、今日は、ぼたもちでもつくるべか」
「なに~っ、ぼ、た、も、ち、じゃと。それはいい。すぐつくるべえ」
いつもは悪口を言い合う二人ですが、今日は仲良しです。
「それでな、ゆんべ夢の中で、ぼたもちを見たんじゃよ。そして食おうとすると、どんどん消えてしもうてな」
「夢の中でまでぼたもちが出てくるとは、食い意地のはったばあさまじゃな。アハハハハハッ」
「ところで、アズキはあるのけ?」
おばあさんが心配そうに聞くと、嫁さんは胸をドンと叩きます。
「あるともさ。こんな時の為に、ちゃんとしまっておいたんじゃよ」
「そうか。お前は大した嫁じゃ」
こうして二人は、仲良くぼたもちを作り始めました。
まず、米をたきます。
次に、アズキを煮ます。
そして、米をつきます。
最後に餅(もち)を丸めて、あんこをつけます。
「出来たぞ。さあ、味見をするべえ」
「ばあさん、一人で味見をするのはずるいぞ」
「じゃあ、二人で一緒に味見をするか」
二人は笑い合いながら、声をそろえて言いました。
「うめえ」
「うめえ」
二人は夢中になって、ぼたもちを食べ始めました。
「ばあさん、いくつ食った?」
「おらは、五つ、・・・いや三つじゃ。おめえはいくつじゃ?」
「おらは、六つ、・・・いや三つじゃ」
二人はまた、パクパク食べ始めました。
「ふわっ、もう食えねえ。お腹がわれそうだ」
嫁さんは食べるだけ食べると、隣の部屋に行ってしまいました。
おばあさんが見ると、一つだけぼたもちが残っています。
おばあさんは、そのぼたもちをなべに隠しながらぼたもちに言いました。
「ええか、ぼたもちよ。嫁の顔を見たら、カエルになるんだぞ」
この様子を、嫁さんはしょうじのすきまから見ていたのです。
次の日、嫁さんは朝早くに起きると、なべの中のぼたもちを食べてしまいました。
「ああ、うまかった。さて、ぼたもちの代わりに、このカエルを入れておいてと」
嫁さんは、なべの中にカエルを入れて知らんぷりです。
さて、そうとは知らないばあさんは、嫁さんが田んぼに行ったすきになべのふたを開けました。
するとカエルが、ピョーンと飛び出しました。
おばあさんは、カエルにあわてて言いました。
「これ、待て、ぼたもち。わしじゃ、嫁じゃないぞ。待て、待て」
しかしカエルは田んぼに逃げ込んで、どこかへ消えてしまいました。
「わ~ん、おらのぼたもちが、泳いで行ってしもうただ~」
おしまい
|
|
|