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 4月16日の日本の昔話
 
 
  
 カエルになったぼたもち
 變𧊅仔个紅豆𩜄粄
 
 福妹日本童話集 (臺灣客語.海陸腔) 翻譯:鄧文政(ten33 vun55 zhin11)
 
 にほんご(日语)  ・ちゅうごくご(中文) ・日语&中文
 むかしむかし、お百姓(ひゃくしょう)さんたちの食べ物は、とても貧しいものでした。頭擺頭擺,農民食物盡少。
 白いお米のご飯などは、めったに食べられず、いつもアワやヒエやイモを食べていました。
 當少食著白米飯,一年透天斯食小米、稗仔無斯蕃薯。
 さて、ある村に、あまり仲のよくない嫁さんとおばあさんがいました。
 有一個村莊,有一對感情當毋好個家娘、心臼,
 二人は顔をあわせると、けんかばかりしています。
 二儕見面總係冤家羅債。
 朝に起きた時も、
 朝晨䟘床乜:
 「嫁のくせに、何て起きるのが遅いんじゃろう」
 「心臼人仰會恁晝正䟘床。」
 「ふん。年寄りは用もないのに早起きして、困ったものじゃ」
 「fun!老貨仔無麼个事,恁早䟘床還無結煞。」
 そしてイモの入ったおかゆを食べる時も、
 食蕃薯糜个時節乜共樣、
 「おらの方が、イモがすくねえぞ」
 「𠊎个蕃薯仰會較少呢。」
 「ちゃんと一緒の数を入れたさ。全く、おらより体が小さいくせにずうずうしい」
 「𠊎特別算過數量共樣正放落去。比𠊎較細格个人恁毋知見笑。」
 と、いつも悪口の言い合いです。
 常透乜恁樣仔講難聽个話。
 そんなある日、急がしかった田植えがようやく終わりました。
 有一日,總算做好當緊工个蒔田工作。
 「なあ、毎日毎日、イモがゆばかりじゃったから、たまには、うめえもんが食いてえのう」
 「hai53!逐日斯食蕃薯糜,成時乜愛拿兜較好食个東西來食。」
 おばあさんがいうと、珍しく嫁さんも賛成しました。
 聽家娘恁樣講後,難得心臼黏時贊成。
 「そうだな。田植えも終わった事だし、今日は、ぼたもちでもつくるべか」
 「有影哦,田蒔好了、今晡日做兜包豆𩜄个粄來食。」
 「なに~っ、ぼ、た、も、ち、じゃと。それはいい。すぐつくるべえ」
 「麼个啊!包-豆-𩜄-个粄。該斯好哪。煞煞來去打粄。」
 いつもは悪口を言い合う二人ですが、今日は仲良しです。
 兩儕長透冤家泌背,今晡日變著感情當好。
 「それでな、ゆんべ夢の中で、ぼたもちを見たんじゃよ。そして食おうとすると、どんどん消えてしもうてな」
 「因為昨暗晡發夢發著包豆𩜄粄。想愛食个時節斯黏時毋見忒。」
 「ところで、アズキはあるのけ?」
 「毋過,敢有紅豆?」
 おばあさんが心配そうに聞くと、嫁さんは胸をドンと叩きます。
 家娘盡煩勞問个時節,心臼就拍胸脯,
 「あるともさ。こんな時の為に、ちゃんとしまっておいたんじゃよ」
 「當然有,為著這下,𠊎早就㘝有私胲了。」
 「そうか。お前は大した嫁じゃ」
 「有影無?妳這个心臼還慶!」
 こうして二人は、仲良くぼたもちを作り始めました。
 兩子哀同心協力共下去打包-豆-𩜄-个粄。
 「夢の中でまでぼたもちが出てくるとは、食い意地のはったばあさまじゃな。アハハハハハッ」
 「恁硬殼个家娘乜會發這種夢,哈哈哈...」
 まず、米をたきます。
 最先炊糯米飯,
 次に、アズキを煮ます。
 續等煮紅豆、
 そして、米をつきます。
 舂糯米飯、
 最後に餅(もち)を丸めて、あんこをつけます。
 最尾粢耙挼圓包紅豆𩜄。  「出来たぞ。さあ、味見をするべえ」
 「打好咧,來試食看哪!」
 「ばあさん、一人で味見をするのはずるいぞ」
 「阿姆、一儕人試食無準。」
 「じゃあ、二人で一緒に味見をするか」
 「無恁樣,兩儕共下試食做得無?」
 二人は笑い合いながら、声をそろえて言いました。
 兩儕緊笑緊講:
 「うめえ」
 「好食!」
 「うめえ」
 「好食!」
 二人は夢中になって、ぼたもちを食べ始めました。
 兩儕像夢樣,開始食紅豆𩜄粄。
 「ばあさん、いくつ食った?」
 「阿姆,你食幾多隻?」
 「おらは、五つ、・・・いや三つじゃ。おめえはいくつじゃ?」
 「𠊎喔食五個、...毋係三個定定。你呢食幾多隻?」
 「おらは、六つ、・・・いや三つじゃ」
 「𠊎喔食六個、...毋係三個定定。」
 二人はまた、パクパク食べ始めました。
 兩儕續等大口大口繼續食。
 「ふわっ、もう食えねえ。お腹がわれそうだ」
 「哇!做毋得過食咧,肚屎像會爆忒樣。」
 嫁さんは食べるだけ食べると、隣の部屋に行ってしまいました。
 心臼盡命牯食、過後行去隔壁房間。
 おばあさんが見ると、一つだけぼたもちが残っています。
 家娘發現个時節斯伸一隻定。
 おばあさんは、そのぼたもちをなべに隠しながらぼたもちに言いました。
 家娘緊摎粄囥在鑊肚緊講:
 「ええか、ぼたもちよ。嫁の顔を見たら、カエルになるんだぞ」
 「聽好哦,紅豆𩜄粄,若係你看著心臼个面你就會變𧊅仔哦。」
 この様子を、嫁さんはしょうじのすきまから見ていたのです。
 這情形分心臼在紙門縫看著。
 次の日、嫁さんは朝早くに起きると、なべの中のぼたもちを食べてしまいました。
 第二日,心臼打早䟘床斯摎鑊肚个紅豆𩜄粄食淨淨。
 「ああ、うまかった。さて、ぼたもちの代わりに、このカエルを入れておいてと」
 「啊!還好食,粄食忒了,換𧊅仔放轉去。」
 嫁さんは、なべの中にカエルを入れて知らんぷりです。
 心臼就摎𧊅仔放轉鑊肚去,趜詐毋知。
 さて、そうとは知らないばあさんは、嫁さんが田んぼに行ったすきになべのふたを開けました。
 するとカエルが、ピョーンと飛び出しました。
 對這情形完全毋知个家娘,趕在心臼去田項个時節打開鑊蓋,𧊅仔黏時就跳出去,
 おばあさんは、カエルにあわてて言いました。
 家娘分𧊅仔嚇一下,就講:
 「これ、待て、ぼたもち。わしじゃ、嫁じゃないぞ。待て、待て」
 「噯!等下,紅豆𩜄粄。係𠊎,毋係心臼啦。等下,等下。」
 しかしカエルは田んぼに逃げ込んで、どこかへ消えてしまいました。
 但係𧊅仔還係瀉落田竇肚,毋知走去哪位。
 「わ~ん、おらのぼたもちが、泳いで行ってしもうただ~」
 「哇,𠊎个紅豆𩜄粄泅走去咧,還無結煞哪!」    おしまい煞咧
  
 
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