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福娘童話集 > きょうの江戸小話 > 4月の江戸小話 > 遠めがね
4月25日の小話
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遠めがね
むかし、湯島(ゆしま→東京都文京区)の高台に遠めがねを置いて、お客に見せておりました。
遠めがねとは、今の望遠鏡(ぼうえんきょう)の事です。
ある男が、この遠めがねを一生懸命にのぞいていましたが、急に手を前に突き出すと、何か拾う様な手つきを始めます。
その不思議な動きに、遠めがねの番人が男に尋ねました。
「これ、お客さん。手を突き出して、何をしていなさるのかね?」
すると男は、なおも手を突き出しながら言いました。
「うん、浅草(あさくさ)の仁王門(におうもん)の前に銭が落ちているんだ。もう少しで、届きそうなんだ」
♪ちゃんちゃん
(おしまい)
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