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9月3日の小話
あま酒
あるところに、けちな和尚さんがおりました。
この和尚はあま酒が大好物で、いつも押し入れにかくれてこっそりと飲んでいました。
ある日の事、小僧が外から帰って来ると、和尚さんがいません。
「和尚さま、いないのですか?」
「・・・・・・」
「和尚さま?」
「・・・・・・」
返事がないので、小僧はニヤリと笑いました。
「よしよし、このすきに、和尚さまの隠しているあま酒を飲んでやろう」
でも、もし和尚さんに見つかったら大変です。
そこで小僧はかくれて飲もうと、あま酒を茶わんに入れて押し入れの戸を開けました。
すると押し入れの中には先に和尚さんが入っていて、おいしそうにあま酒をすすっているではありませんか。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
目が合った二人は、しばらく声も出ずにおどろいていましたが、やがて小僧が茶わんを差し出して言いました。
「はい、おかわりをお持ちしました」
♪ちゃんちゃん
(おしまい)
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