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3月21日の日本民話 2
ヘビになったマメのサヤ
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むかしむかし、ある村の役人のところに、はるばる京の都から清滝姫(きよたきひめ)という美しい娘が嫁入りして来ました。
清滝姫は新しい生活に慣れてくると、すでに亡くなっている両親を供養する為に、村に立派なお寺を建てました。
ところが、お寺の完成が近づいて来ると、村の南東の方角からお寺に向かってエノキの小枝が飛んで来る様になったのです。
「これは何か、悪い事が起こる前ぶれではないか?」
村人たちは気味が悪いので、都から有名な占い師を呼び寄せて占って貰いました。
すると、
「これは南東の方角にあたる、染井(そめい)の峰(みね)の仕業である。
染井の峰の山が、この寺にエノキの小枝を投げつけるのじゃ。
染井の峰は、ここに寺が出来るのをよく思わず、こんな悪さをしておるのじゃろう」
と、言うのです。
そして占い師は、お寺にエノキの木を植えればよいとつけくわえました。
村人たちは占い師が言葉通りに染井の峰からエノキの木を持って来て、境内(けいだい)に植えました。
すると、おかしな騒ぎも治まって、お寺は立派に完成したのです。
それから長い年月が過ぎて、清滝姫が建てたお寺は朽ち果ててしまいましたが、そのお寺の跡地で不思議な事がおこったのです。
お寺の跡地の近くの高台に畑を作っていた村のお百姓(ひゃくしょう)が、大角豆(ささげ)というマメをまいたところ、とてもたくさんの収穫(しゅうかく)がありました。
お百姓は喜んで取り入れをすると、このマメを煮て食べる為にサヤをむきました。
するとむいた後に捨てたサヤがもぞもぞと動き出して、何十匹もの金色のヘビになったのです。
「な、な、なんじゃ。これは?」
お百姓は、ビックリです。
お百姓は急いで袋にヘビを詰め込むと、マメをとれた畑へ持って行って土の中に埋めてしまいました。
後から調べたところ、畑のある高台は清滝姫のお墓があったところで、あのヘビは清滝姫を守っていたという事です。
おしまい
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