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 3月4日の世界の昔話
 
  
 知恵のある娘
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 投稿者 ナレーター熊崎友香のぐっすりおやすみ朗読
 
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 投稿者 「元局アナ佐藤くみこの「優しいおやすみ朗読」
 
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 投稿者 「ひつじも眠る朗読チャンネル」
 
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 投稿者 「眠りのねこカフェ」
 
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 制作: ユメの本棚
  むかしむかし、あるところに、貧しいけれど正直者のお百姓さんがいました。このお百姓さんが畑を耕していると、土の中から金のうすが出てきました。
 「おおっ、なんと素晴らしいうすだ。よし、これは王さまに差し上げよう」
 お百姓がさっそく金のうすを持ってお城へ行くと、王さまは一目見て言いました。
 「なるほど、素晴らしいうすだな。ほめてつかわそう」
 「ははっ、ありがとうございます」
 頭を下げるお百姓に、王さまは少し首をかしげて言いました。
 「しかし、うすだけとは妙だな。
 うすだけあっても、きねがなくては役には立たん。
 土の中にうすがあったのなら、きねもあったであろう。
 百姓よ、どうしてきねを持って来ないのだ?」
 それを聞いたお百姓さんは、あわてて言いました。
 「いいえ、きねはありません。土の中から出てきたのは、うすだけです」
 ところが王さまは、それを聞き入れてくれません。
 「いいや、お前はきねまでわたしにくれるのが、おしいと思ったのであろう。それで、そんなうそを言っているのだろう」
 「いいえ、本当に、うすしかなかったのです」
 「うそを申すな! このうそつき百姓め! 本当の事を言うまでは、お前を帰さないぞ!」
 こうして王さまは、お百姓さんを牢屋に入れてしまったのです。
 
 その事を聞いたお百姓さんの娘は、さっそく城へかけつけると涙を流して王さまに言いました。
 「王さま。本当に、きねはなかったのです。うそを言っているのではありません。どうか、父をお許しください」
 「うむ・・・」
 王さまは娘の涙を見て、お百姓の言葉がうそではないとわかりました。
 でも、一度牢屋に入れた者を簡単に許してしまうのは、王さまが間違った判断をしたと言っているようなものです。
 そこで王さまは、こう言いました。
 「よろしい、許してやろう。
 ただし、わたしの出す問題が解けたらだ。
 いいか、よく聞けよ。
 お前は一度家に帰り、着物を着ないで、裸でもなく、馬にも車にも乗らず、道を歩かず道を通って、この城まで来てみなさい。
 それが出来たら、お前の父親を許してやろう」
 さあ、大変な事になりました。
 これはとても難しい問題です。
 でも、しばらく考えていた娘は、
 「そうだわ」
 と、すぐにっこりして、王さまの前から引き下がりました。
 
 家へ帰った娘は着物を脱いで裸になると、大きな魚取りのアミで体をすっぽりと包みました。
 次にアミのはしをロバの尻尾に結びつけると、ロバに自分の体を引きずらせながら、お城へとやって来たのです。
 これで、着物を着ないで、裸でもなく、馬にも車にも乗らず、道を歩かないで、城へ来た事になるのです。
 王さまは、娘の知恵にすっかり感心して言いました。
 「お前は、なかなか利口な娘だ。よろしい、約束通り父親を許してやろう」
 こうしてお父さんは、すぐ牢屋から出されました。
 そしてその上に娘はたくさんのごほうびまでもらって、お父さんと一緒に家へ帰りました。
 おしまい   
 
 
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