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7月14日の世界の昔話
金のカラス
マャンマーの昔話 → ミャンマーの情報
むかしむかし、ある村に、夫に死なれた貧乏な女の人がいました。
女の人には、きれいでやさしい一人娘がいます。
ある日の事、女の人が娘に言いました。
「お米の入った箱を日なたに干しているから、取られないように見張り番をしておくれ」
「はい。わかりました」
娘が米の箱の側に座って番をしていると、どこからか金色のカラスが飛んできました。
「あっ、だめよ。あっちに行って!」
娘はカラスを追い払おうとしますが、カラスは平気で箱に入った米を全部食べてしまったのです。
「ああ、どうしましょう」
娘が泣き出すと、金色のカラスが言いました。
「娘さん、心配しないで。代わりの物をあげるから。夕方、村はずれの大きな木のところへおいで」
夕方、娘が大きな木の下へ行くと、木のてっぺんにある小さな金色の家から、金色のカラスが顔を出して言いました。
「いま、はしごを下ろしてあげるけど、金と銀とブリキのうち、どのはしごがいい?」
「わたしは、ブリキのはしごでいいわ」
娘が答えると、カラスは金のはしごを下ろしてくれました。
娘がはしごを登って小さな金色の家に行ってみると、カラスは夕ご飯の支度をしながら言いました。
「お皿は、金のお皿か、銀のお皿か、ブリキのお皿か、どれがいい?」
「ブリキのお皿でいいわ」
娘が答えると、カラスは金のお皿に、おいしいごちそうを山の様に出してくれました。
娘が食べ終わると、カラスは三つの箱を持って来て言いました。
「お土産をあげよう。大きい箱と、中くらいの箱と、小さい箱、どの箱がいい?」
「小さい箱でいいわ」
娘は小さな箱をもらうと、カラスにお礼を言って家に帰りました。
そして娘がお母さんと一緒に小さな箱を開けてみると、中から光り輝くルビーがたくさん出てきました。
おかげでお母さんと娘は、お金持ちになって幸せになりました。
さて、この二人の近所に、とても欲張りな母親と娘が住んでいました。
欲張りな二人は金色のカラスの話を聞くと、自分たちも同じようにルビーがもらいたくてたまりません。
そこで欲張りな二人は、さっそく日なたに米の箱を出しました。
すると金色のカラスがやって来て、箱の米を食べ始めました。
それを見つけた欲張り娘が、大声で叫びました。
「こら! よくもお米を食べたね。代わりに宝物を寄こさないと、ひどい目に会わせるよ!」
こうして金色のカラスに無理矢理約束させた娘が、夕方に木の下に行ってみると、
「はしごを下ろすけれど、金と銀とブリキのうち、どのはしごがいい?」
と、金色のカラスが聞きました。
すると欲張りな娘が、
「もちろん、金のはしごだよ」
と、答えると、カラスはわざとブリキのはしごを下ろしました。
次にカラスは娘に、金と銀とブリキのうち、どのお皿がいいかと尋ねました。
「もちろん、金の皿だよ」
娘が言うと、カラスはわざと、ブリキのお皿で少しのごちそうを食べさせました。
娘が怒って、カラスに怒鳴りました。
「お前は、なんてけちなカラスだろう。もういいわ、早くお土産を持ってきなさい!」
するとカラスは、大きい箱と、中くらいの箱と、小さな箱を持ってきました。
「大きい箱と、・・・」
カラスが説明しようとすると、娘は大きい箱をつかんで、
「大きい箱に、決まっているでしょう!」
と、カラスに礼も言わずに、大きい箱を持って家に帰りました。
欲張りな娘が家に帰ると、すぐに欲張りな母親が飛んできて言いました。
「よくやったね。しかも隣の家よりも、大きい箱じゃないの」
「当然でしょう。さあ、二人で箱を開けましょう」
欲張りな娘と母親が、わくわくしながら大きな箱のふたを開けてみると。
「ぎゃあーーーー!」
二人は叫んで、ブルブルと震え上がりました。
何と大きな箱の中からは、毒ヘビや毒クモや毒トカゲなどが、次から次へとはい出てきたのです。
おしまい
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