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9月17日の世界の昔話
だまされたお坊さん
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むかしむかし、お坊さんが、仏さまにおそなえするためのヤギを買いました。
それを見た三人の悪者が、
「うまそうなヤギだ。あの坊さんをだまして、ヤギをおれたちの物にしよう」
と、相談して、それぞれがお坊さんの先回りをしました。
お坊さんがヤギを肩にかついでやってくると、一番はじめの男が言いました。
「お坊さん、肩にイヌをかついで、どうするのですか?」
「おや? これが、イヌに見えるのか? これは、仏さまにおそなえするヤギだ」
お坊さんは、おかしな事を言う男だと思いながら通りすぎていきました。
しばらく行くと、二番目の男がお坊さんに言いました。
「お坊さん、イヌなんか肩にかついで、どうするのですか?」
お坊さんはびっくりして、ヤギを下におろしました。
そしてヤギをじっくり見ましたが、やっぱりヤギです。
「これがイヌに見えるのか? ばかな事を言うもんじゃない」
お坊さんはヤギをかついで、歩き出しました。
でも二度も同じ事を言われて、ちょっと不安になってきました。
(わたしがかついでいるのはヤギのはずだが、もしかしてイヌなのか?)
する、三番目の男が現れて、お坊さんに言いました。
「お坊さん、イヌなんか肩にかついで、どうするのですか?」
それを聞いたとたん、お坊さんは本当にイヌをかついでいるような気になりました。
「やれやれ、疲れていたのかな。ヤギとイヌを間違えて買ってしまうとは」
お坊さんはヤギをその場に置くと、さっさと家にもどっていきました。
「しめしめ、うまくいったぞ」
三人の悪者はそのヤギで、おいしい夕ご飯を食べました。
おしまい
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