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1月23日の日本民話
酔っぱらいタヌキ
北海道の民話
むかしむかし、北海道の函館(はこだて)に、大きな料理屋がありました。
このお店へ、一人の小太りの男が入ってきました。
足元がフラフラしているところを見ると、もう、お酒を飲んでいるのでしょう。
男ははきものをぬぐと、二階の座敷(ざしき)へ行こうと階段をあがっていきました。
はきものをかたづけていた店の老人が、男の後ろ姿を下から見あげていました。
「だいぶ酔っておるな。だいじょうぶかのう。足元が・・・うん? あれはなんじゃ?」
老人は、ビックリ。
階段をのぼっていく男の足は、まるでけだもののような細い足で、ビッシリと灰色の毛がはえているのです。
とても、人間の足には見えません。
「あっ、あれは、タ、タ、タヌキだー!」
老人は、思わずさけびました。
その声におどろいた男は階段から足をふみはずして、ゴロゴロと下まで落ちてくると、タヌキの正体をあらわしてしまいました。
タヌキはあわてふためいて、そのまま外へ飛び出して行ったのです。
「あのタヌキは、酒のにおいをプンプンさせておったな。よっぽど酒が好きなんだろう」
酔っぱらいタヌキのくさった渋柿(しぶがき)のようなにおいは、三日も四日も消えなかったという事です。
おしまい