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8月11日の日本民話

秋芳洞の鬼女

秋芳洞の鬼女
山口県の民話

 むかしむかし、秋芳洞(あきよしどう)にはめったに人が入らず、もし入れば二度と生きて帰ってくる者はいないと言われていました。
 ある時、この村を通りかかった修験者(しゅげんしゃ)が、
「それなら、私がその奥をみきわめよう」
と、松明(たいまつ)を手に秋芳洞へ入っていきました。
 すると、どこからともなく一人の鬼女(おにおんな)が現れて、
「この奥は無限(むげん)であり、あの世へ通じている。お前を通すわけにはいかんし、この事を知ったお前を生かして返すわけにはいかん。だが、お前は仏につかえる者。今度ばかりは生きて返してやるが、この事を一言でも口にしたら、その時は命はないと思え」
と、つげたのです。
 村に逃げ帰った修験者は、村人の質問ぜめに会いましたが、鬼女との約束があるのでかたく口を閉ざしていました。
 しかし、あまりしつこく聞かれるので、とうとう一部始終を話してしまったのです。
 そして言い終えたとたん、修験者はその場に倒れて、鬼女の言葉通り、間もなくあの世へ旅立ってしまいました。

おしまい

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