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8月13日の日本民話

パナンペとペナンペ

パナンペとペナンペ
北海道の民話

 むかしむかし、アイヌの村の川下に、パナンペという男が住んでいました。
 そして川上には、ペナンペという男が住んでいます。
 ある時、パナンペが川のそばで死んだまねをしていると、たくさんのキツネがあつまってきて、
「ああ、かわいそうに」
と、シクシクなきながら体にさわったり、ゆりおこそうとしたりしました。
(しめしめ。・・・今だ!)
 パナンペはキツネがゆだんしたすきを見つけると、かくし持った棒をふりあげて、ポカポカとキツネをなぐりました。
 たちまち十匹あまりのキツネをつかまえたパナンペは、それを家に持って帰って料理しました。
「うん。これはうまい」
 パナンペがナベをつついていると、ペナンペがやってきて、
「キツネナベとは、たいしたごちそうだな。貧乏なお前が、どうしてこんなものを食っているんだ?」
と、ききました。
「よし、教えてやるから、お前もやってみろ」
 パナンペが、キツネをつかまえた方法を教えてやると、
「ふん! 礼は言わないよ。なにしろ、おれがやろうと思っていた事を、お前が先にやっただけなんだからな」
 ペナンペはさんざんパナンペの悪口をいって、とびだしていきました。
 さて、ペナンペがパナンペのまねをして川のそばで死んだまねをしていると、キツネがあつまってきて、
「ああ、かわいそうに」
と、なきながら体にさわったり、ゆりおこそうとしました。
 ペナンペはおかしくてたまらず、うっすらと目を開けてしまいました。
 すると、かしらのキツネがそれに気づいて、
「やや、これは死んでいない。おれたちをだますつもりだ。さては、さっきたくさんの仲間をやっつけたのはお前だな。よし、しかえしだ!」
と、飛びかかってきました。
「ちがう、ちがう! さっきのはパナンペで、おれはペナンペだ!」
 ペナンペがいくらいいわけをしても、キツネたちはきいてくれません。
 みんなでとびかかって、ひっかいたり、かみついたり。
 ボロボロになったペナンペは、おいおいなきながらかえっていきました。

おしまい

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