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11月7日の日本民話

大蛇と結婚した娘の話

大蛇と結婚した娘
島根県の民話

 むかしむかし、ある大金持ちの家に、とても美しい娘がいました。
 娘は小さいころから、谷田池(たにだいけ)の名前を口にして、その池に行きたいといっていました。
 谷田池は、ここから歩いて何日もかかる所にある大きな池ですが、娘を一度もつれていったことなどないので、家の者たちは不思議に思っていました。
 さて、娘が十六才になった年の春の事です。
 娘は何度も父親にたのんで、やっと池へいくことをゆるしてもらいました。
 ですが、途中でなにかあったらたいへんと、父親は娘に何人ものお供をつけました。
 そして何日もかかって、やっと谷田池につきました。
 何年も心まちにしていたところです。
 娘は池のほとりにある小きな社(やしろ)の前で、しずかに手を合わせました。
 お祈りがすむと、娘は池の水で手を洗いたいといって、お供の者たちからはなれていきました。
 そしてそのまま、池の中へ入っていったのです。
 ビックリしたお供の者たちが、あわててひきもどそうとすると、娘はみるみるヘビの姿にかわって、水の中に消えてしまったのです。
 実は娘は、生まれてくる前の前世(ぜんせ)から、谷田池の底にすむオスのヘビに恋をしていたのです。
 それから何年かたった、ある年の五月の事です。
 谷田池の持ち主が、池を土でうめて田畑にしようとしました。
 そして、池の主の大蛇(だいじゃ)があばれて工事のじゃまをしないように、お坊さんに七日間のおいのりをお願いしました。
 すると七日目の夜、池にすむ夫婦の大蛇が、うろこを一枚、池のほとりに置いて、どこかへ姿を消していったという事です。

おしまい

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