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5月3日の世界の昔話
三人の糸つむぎ女
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むかしむかし、あるところに、とてもなまけ者の娘がいました。
娘は糸つむぎが大嫌いです。
ある日、お母さんがむりやり糸つむぎをさせようとすると、娘は大声で泣き出しました。
そのとき、この国の女王さまが、娘の家の前を通りかかりました。
そして、女王さまがたずねました。
「どうして、この娘は泣いているのですか?」
お母さんは、娘がなまけ者なのを恥ずかしく思い。
「はい。この子は糸つむぎが大好きで、いつも糸つむぎを止めさせようとすると泣くのです」
と、反対のことをいってごまかしました。
すると女王さまは、
「そんなにはたらき者とは、感心な娘ですね。よろしい。城へ連れて行って、好きなだけ糸つむぎをさせてあげましょう」
と、娘をお城に連れて行ったのです。
女王さまは、娘を糸つむぎ部屋につれていくと言いました。
「ここには三つの部屋があります。この三つの部屋一杯のアサを全部つむいだら、王子と結婚させてあげましょう」
(そ、そんなの出来ない。三百年かかっても無理だわ)
一人残されて娘が泣いていると、どこからか、三人の不思議な女の人たちがあらわれました。
1人は、平べったい大きな足。
1人は、あごの下までたれ下がった長いくちびる。
残りの1人は、バナナほどの大きな親指をしていました。
三人は、娘に言いました。
「おまえを助けてあげよう。ただし、王子との結婚式にわたしたち三人を、おまえのおばとしてよんでくれるならね」
「ええ、約束するわ」
と、娘が言うと、三人はすぐに糸をつむぎ始めました。
大きな足の女が糸車をふみ、長いくちびるの女が糸をなめてしめらせ、大きな親指の女がその糸を見事につむぎました。
次の日、女王さまは部屋いっぱいにつみあげられた糸の山を見て、すぐに娘と王子の結婚式の準備に取りかかりました。
「王子や、こんなによくはたらく娘をお嫁さんにもらえて、本当に良かったわね」
「はい、お母さま」
「これからは、毎日お嫁さんに糸をつむいでもらいましょうね」
「はい、お母さま」
女王さまも王子さまもごきげんでしたが、その言葉を聞いて娘の顔はまっ青になりました。
(ええ、毎日糸をつむがなければならないの! そんなことになったら、わたし死んでしまうかも)
娘は糸を毎日つむぐぐらいなら、本当のことを話して、王子さまとの結婚はあきらめた方がいいと思いました。
「あの、王子さま。じつは・・・」
と、いいかけたところへ、あの三人の女があらわれたのです。
王子は、その女たちのきみょうな姿にビックリして、三人にたずねました。
「なぜ、おばさまたちは、そんなに大きな足や、くちびるや、親指をしているのですか?」
「いつも、糸車をふんでいるからだよ」
「いつも、糸をなめるからだよ」
「いつも、糸をつむぐからだよ」
三人の女の返事を聞くと、王子さまはさけびました。
「いつも糸つむぎをすると、そうなってしまうのですか!」
三人の女たちは、ニッコリわらっていいました。
「そうだよ。王子さまの花嫁も、そのうちに、わたしたちのようなすがたになるでしょうね」
「それは大変だ! よし、花嫁には糸つむぎを一生させないようにしよう!」
と、言うわけで、糸つむぎのきらいな娘は、糸つむぎを一生しなくてもいいことになり、やさしい王子さまとしあわせにくらしました。
おしまい