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        世界のわらい話 第40話 
         
          
         
コアラのしっぽがみじかいわけ 
オーストラリアの昔話 → オーストラリアの国情報 
       
       むかしむかしの、オーストラリアのお話です。 
   カンガルーのボラーと、フクログマ(→コアラ)のコアボンは、とてもなかよしでした。 
   いつもいっしょに、えさをさがしにいきました。 
   あるとき、雨があまりふらないので、あたりいちめん、すっかりかわききってしまいました。 
   木も草もかれてしまい、人間も動物も生きていられなくなりました。 
   けれども、カンガルーのボラーとフクログマのコアボンは、水のある穴ぐらを知っていました。 
   そして、その穴のそばでくらしていました。 
   ところがその穴ぐらにも、水のなくなるときがやってきました。 
   カンガルーのボラーも、フクログマのコアボンも、のどがかわきすぎて、ヒリヒリといたみました。 
   ふと、カンガルーのボラーがいいました。 
  「ずっとまえ、ぼくがまだお母さんのおなかのポケットにはいっていたころ、やっぱり水がなくなったことがあるんだよ。そのときお母さんは水をさがして、あっちこっち歩きまわったんだ。ほかのカンガルーたちは、『赤んぼうをポケットからだして、すてちゃいなさい。そうすれば、水をさがすのもらくですよ』って、すすめたけど、お母さんはぼくをしっかりおなかの袋にいれておいてくれたっけ。ずいぶん歩いてから、お母さんは水のなくなった川へついたよ。そこでお母さんたら、カラカラにかわいた砂をほりはじめたんだ。うんとながいことほったら、穴のそこから水がにじみでてきたんだ。そしてお母さんのほった穴にだんだん水がたまって、ぼくたちは水を飲むことができたんだよ」 
  「そいつはすばらしい! すぐ、川をさがしにいこうよ」 
  と、フクログマのコアボンがいいました。 
   二人は、水をさがす旅にでました。 
   そしてようやく、川の土手につきました。 
   川には、ひとしずくの水もありません。 
   川ぞこには、かわいた砂があるきりでした。 
   カンガルーのボラーは、お母さんの手つきを思いだしながら、砂をほりはじめました。 
   ながいことながいことほったので、とうとうカンガルーのボラーは、クタクタになってしまいました。 
   そこで、コアボンに、 
  「おい、こんどはきみ、やってくれよ」 
  と、たのみました。 
   フクログマのコアボンは、はたらくのが大きらいです。 
  「ぼく、なんだか気分がわるいんだ」 
  と、うそをつきました。 
  「そうか。それならいいよ」 
   ボラーはしかたなく、ひと休みしてからまた、砂をほりました。 
   カンガルーのボラーの手は、とてもしびれてきました。 
   そのうちにようやく、穴のそこに水がにじみでてきました。 
   水はだんだん穴にたまって、水たまりができました。 
   カンガルーのボラーは、いそいでなかよしのフクログマのコアボンのところへとんでいきました。 
  「おい、水がでたよ!」 
   ボラーの声を聞くと、病気のふりをしていたコアボンはとびおきました。 
   コアボンは水たまりにとんでいくと、頭をつっこんで、ガブガブと飲みはじめました。 
   穴の上に、コアボンのしっぽだけがのぞいていました。 
  「気分がわるいといっていたくせに、よくもだましたな」 
   カンガルーのボラーは、だまされたことに気がついて、カンカンにおこりました。 
   それで、穴の上にちょこんと出ているコアボンのしっぽを、チョキンときってしまったのです。 
   フクログマのしっぽがみじかくなったのは、こういうわけなのです。 
      おしまい 
         
         
        
       
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