世界のわらい話 第41話
イラストの隠しキャラを探してみよう。
(チョウ、ウサギ)
正解は、お話しの最後にあります。
魔法使いの弟子
ドイツの昔話 → ドイツの国情報
むかしむかし、魔法使いとその弟子が、二人で住んでいました。
ある日の事、魔法使いは出かける時に、弟子に言いつけました。
「風呂の水を、いっぱいにしておくように」
魔法使いの姿が見えなくなると、弟子はソファーにゴロンと横になりました。
「あーあ、川からバケツで水をくんで来て、風呂をいっぱいにしておくなんて面倒だなあ。
毎日毎日仕事を山ほど言いつけられて、いやになっちゃうよ。
・・・そうだ!」
弟子は、ある名案をひらめきました。
「そうそう、ぼくは魔法使いの弟子なんだ。こういう時こそ、覚えた魔法を使ってみなきゃ」
弟子はソファーから飛び起きると、ほうきにむかって魔法の言葉で命令しました。
「ほうきよ、ほうき。川の水をバケツでくんで来い。そしてその水を、風呂に入れるのだ!」
するとほうきから小さな手が出てきて、両手に二つのバケツをつかむと、ヒョッコリ、ヒョッコリと歩き出したのです。
「よし、うまくいったぞ! これでぼくも一人前の魔法使いだ!」
弟子は、大喜びです。
魔法のほうきはバケツをさげて、川へ走って行きます。
そして川の水をバケツにくむと、ヒョッコリ、ヒョッコリともどって来るではありませんか。
弟子は、うれしくてたまりません。
魔法のほうきは、くんできた水を風呂にザザーッと入れると、また家を出て川へ走って行きます。
「ああ、らくちんだったら、らくちんだ。魔法を使えば、らくちんだ!」
弟子はバケツを持って何度も行ったり来たりする魔法のほうきに、手拍子(てびょうし)をとりながらおどりました。
風呂の水は、あっという間にいっぱいになりました。
「さあ、終わったぞ」
弟子はニッコリ笑って、ソファーでまた昼寝をしようと思いました。
ところが、魔法のほうきは止まりません。
風呂の水はいっぱいで、もうあふれてしまうというのに、バケツに水をくんで来ては風呂に入れるのです。
風呂からあふれた水が、廊下(ろうか)に流れ出ました。
「ああ、やめろ! もうおしまいだってば!」
弟子が命令しますが、ほうきは言うことを聞きません。
もう家の一階は、プールのように水がたまっていました。
「このままじゃあ、怒られてしまうよ。・・・えーと、魔法をとく言葉はなんだっけ? ・・・えーと、えーと」
どうしても、魔法をとく言葉が思い出せません。
「ええーい、こうなれば、ほうきをこわしてやる!」
弟子はオノを持って来ると、魔法のほうきをまっぷたつに切りました。
そのとたん魔法のほうきは二つにふえて、今までの二倍の水を運んでくるのです。
「えい! えい! はやくとまれ!」
弟子がオノでほうきを切るたびに、ほうきはドンドンふえていって、ドンドン水を運んできます。
「あーん、これじゃ、おぼれちゃうよー」
弟子は二階へ逃げようと、階段をかけ登りました。
その時、魔法使いが帰って来ました。
「なんだこれは! さては、弟子のしわざだな」
ビックリした魔法使いは、あわてて魔法の言葉をとなえました。
「ほうきよ、止まれ! 水よ、消えろ!」
そのとたん、風呂からあふれた水はパッとなくなり、ほうきも元のほうきにもどりました。
「あの、その、・・・ごめんなさい」
階段の手すりにしがみついていた弟子は、魔法使いにあやまりました。
魔法使いは弟子の頭をコツンとたたくと、大きなため息をついていいました。
「やれやれ、風呂の水くみをいやがるようじゃ、一人前の魔法使いにはなれないぞ」
おしまい
隠しキャラの正解
おしまい
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