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1月12日の日本の昔話

クッカルとカラス

クッカルとカラス
鹿児島県の民話鹿児島県情報

 むかしむかし、カラスの羽は今の様な真っ黒ではなくて、赤い羽毛に紫や青緑の混じった、それは美しい色でした。
 他の烏はみんな、そんなカラスをうらやましがっていました。
 特に、クッカルは、
「あーあ、おいらの着物は真っ黒なばかりで面白くない。一度でいいから、カラスさんの様な美しい着物を着てみたいな」
と、思っていました。
 クッカルというのは、カラスによく似たくちばしの長い鳥です。
 そこである日、クッカルはカラスを騙して着物を取ってやろうと考えました。
 そこでさっそく、カラスのところへ出かけて行って、
「カラスさん、今日は暑いから水浴びに行こう」
と、誘いました。
 するとカラスは、
「それはいいな。よし、行こう」
と、言って、二人は森の奥の沼に出かけたのです。
 そして、それぞれは自分の着物を脱いで、ザブーンと水に飛び込みました。
 天気が良くポカポカと暖かいので、水浴びの好きな二人はとても楽しく遊びました。
 ところがしばらくすると、クッカルは、
「ありゃー、大事な用事を思い出した。すまないが先に帰るよ」
と、言って、帰ってしまいました。
 一人残されたカラスは、
「あーあ、もうちょっと、一緒に遊びたかったのに」
と、ぶつぶつ言いながら水からあがって着物を着ようとしたのですが、ところがどこを探しても自慢の美しい着物はなく、そこにあるのは真っ黒で汚い、クッカルの着物だけだったのです。
「ややっ、さてはクッカルのやつ、おいらの着物を着ていったな」
 カラスはクッカルに騙された事を知りましたが、もうどうしようもありません。
 それで仕方なく、クッカルの着物を着て帰ったのです。

 それからというものカラスは真っ黒で、クッカルはきれいな羽をつけているのだそうです。
 そしてカラスはクッカルが憎くてたまらないので、今でもクッカルを見つけると目の敵にして追い回すのだそうです。

おしまい

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